第2次世界大戦下、ドイツは進撃を続けフランスは陥落寸前、連合軍は北フランスの港町ダンケルクの浜辺まで追い詰められた。就任したばかりの英国首相ウィンストン・チャーチル(ゲイリー・オールドマン)は、ヒトラーとの和平交渉か徹底抗戦か、選択を迫られる。外相ハリファックスはイタリアを仲介役とした和平路線を推すが、チャーチルは徹底抗戦に傾いていた。監督はジョー・ライト。オールドマンは本作で第90回アカデミー賞主演男優賞を受賞した。
 オールドマンが全編特殊メイクで熱演、その特殊メイクを手掛けた辻一弘がアカデミー賞メイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞したことでも話題になった(特殊メイクは言われないとわからない、言われてもわからないレベル)本作だが、オーソドックスな歴史劇として面白かった。チャーチルが首相就任してからイギリスが全面的に開戦を選ぶまでの短い期間を描いているのだが、日付が毎日、あるいは数日刻みで表示され、緊迫感を強める。イギリスにとっては本当に「時間の問題」な状況なんだと感じられるのだ。ガレー陥落への顛末等、当時のイギリスはここまで追い詰められていたのかと改めて実感する。その中でダンケルクからの救出を成功させたのは、奇跡みたいなものだったんだなと。
 サブタイトルに「ヒトラーから世界を救った男」とあるが、これは結果論にすぎない。事態の最中にいるチャーチルには当然、自分の選択がどういう結果になるかはわからない。他の政治家たちも同様で、更に戦況が苛烈になるチャーチルの強硬路線には諸手を挙げて賛成しにくいし、和平路線を選んでも英国側の要望が通るとは考えにくく実質降伏みたいなものだろうからこれも賛成しにくい。全員が右の地獄か左の地獄かという究極の選択を強いられているわけで、こういう状況で政治家たちがどのように考え動くのかという面でも面白かった。本作に登場する政治家は主に保守党の(まあ家柄のいい)人たちだが、結構ことなかれ主義に見える。(実際はどうだったのか知らないしドラマとしてちょっと作りすぎかなという気はするが)庶民の方が戦争もやむなしみたいな姿勢に描かれていた。庶民、労働者の方が「自分たちの国だから好き勝手させない」という意識が強烈な所が英国のお国柄なのかな。ハリファクスたちはヒトラーの真意について見込みが甘かったという面もあるだろうけど・・・。もしドイツのトップがヒトラーでなければ、チャーチルも和平交渉に傾いたのではないかなという気もする。

ダンケルク ブルーレイ&DVDセット(3枚組) [Blu-ray]
フィオン・ホワイトヘッド
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
2017-12-20