印刷会社の営業職をしている金山和成(窪田正孝)は粗暴でトラブルメーカーの兄・卓司(新井浩文)にうんざりしつつも恐れていた。和成の取引先である印刷工場の二代目社長・幾野由利亜(江上敬子)は、和成に密かに思いを寄せていた。由利亜の妹・真子(筧美和子)は印刷工場を手伝いながら女優を目指している。仲の悪い2組の兄弟姉妹は、やがて感情を爆発させていく。監督・脚本は吉田恵輔。
 兄弟姉妹に起こりがちな気まずさ、険悪さに満ちている。兄弟姉妹のいる人なら、どこかしらあるある!と頷く部分があるのではないか。いやーな気分にさせる要素に関して、細かい部分まで目が行き届いておりいちいちいやさを感じさせる。他人に対してこういう種類のいやさはあまり感じないだろう。縁を切れないからいやさが募るのだ。
 彼らが抱える、兄弟姉妹への屈託・コンプレックスの描き方、そしてその原因となっている兄弟姉妹の描き方は、若干戯画的である種の型に沿ったものとも言える。しかしだからこそ「あるある」感に直結している。「出来のいいお嬢さん」ではあるが容姿に恵まれなかった由利亜の、容姿に恵まれ愛され上手な妹へのコンプレックスはそりゃあそうだろうなと言うもの。が、真子にとっては姉は有能で何でも自分より出来る(英会話のくだりがきつい)、少なくとも家業では必要とされる存在で、自分の取り柄は「かわいい」だけ、しかもその「かわいい」も中途半端なものなのだ。この姉妹は、お互いにもうちょっと違う接し方をしていたらこんなに関係悪化しなかったんじゃないかという部分が見え隠れして、いちいち「ちょっと言い方ー!」と突っ込みたくなりいたたまれなかった。
 対する金山兄弟は、卓司の暴力性があからさまで、それに対する恐怖が刷り込まれた和成は逆らえない。これは男兄弟特有の上下関係なのかな。とは言え和成は和成で兄の暴力を影でそれとなく利用したり、嫉妬しつつも言い訳がましく馬鹿にしたりと、恐怖一辺倒ではない。和成を演じた窪田は最近の出演作の中では最も好演だったのでは、目の不穏さが際立っている。一方、実家に高額なプレゼントをした卓司が、結局和成の安価なプレゼントの方が長年愛用されている様を見てキレるのだが、これって末っ子あるあるだわ!と。一見卓司が圧倒的強者に見えるが、対両親についてはそうでもないわけだ。
 終盤、沸点部分が長すぎな気がした。エモーショナルな音楽とか流されると逆に冷める。その後の「穏やかに見えるけど実は」的な不穏な気配は、兄弟姉妹ってそういうものだろうなとは思う。所で本作の兄弟姉妹、子供時代は仲が良かったという設定なのだが、仲悪い兄弟姉妹って大概子供時代から仲悪いんじゃないかな?むしろ子供時代は仲悪かったけど、大人になったら(大人として話し合えるようになるので)関係改善されたってパターンの方が多い気がするのだが。