厳格なベジタリアン家庭で育ったジュスティーヌ(ガランス・マリリエール)は、両親の母校でもある獣医学校に進学。先輩として既に寮生活をしている姉アレックス(エラ・ルンプフ)を頼るが、彼女は様変わりしていた。新入生の通貨儀式として生肉を食べることを強要されたジュスティーヌは、自身の体の変化に気付く。監督はジュリア・デュクルノー。
 上映中に失神者が出るほどの衝撃作との触れ込みで、一部でかなりの高評価だったらしいが、どのへんが衝撃だったのかな・・・?至って普通に少女の成長物語だった。確かに食肉シーンが衝撃なのかもしれないが、作劇的に特に目新しいことをしているわけではないので拍子抜けした。更に言うなら、わざわざ食肉設定を出してくる必要もあんまりない気がするんだけど・・・。
 ジュスティーヌは学校に附属した寮に入るのだが、新入早々「歓迎」の儀式に引っ張り出されたり、セクシーな服を着ることを強要されたり、出来がいいからと教員に因縁つけられたりで、混乱することだらけだ。先輩が絶対的なヒエラルキーのある世界で、優等生だった彼女は異物なのだ。彼女は学校の雰囲気に自分を合わせようとするが、肉食に目覚めたことがきっかけで、更に合わせることが困難になっていく。
 少女が自分を発見し解放されていくというよりも、自分を取り囲む世界との違和感、そして自分の身体との違和感と相対してもがいていく様に思える。学校内の雰囲気がとっても嫌な感じ(先輩に対して「聖なる存在!」みたいにコールさせるのとか、お祭り騒ぎに参加しないと許されない感じとか)ジュスティーヌが本来の自分であろうとすると、必然的に周囲の人々、最も近しい人々を傷つけることになってしまう。これは彼女の身体的なリアクションであると同時に、内面のリアクションでもある。彼女がセクシーな恰好をするのが自分1人だけの時というのも象徴的だった。
 しかしそれをこういう形で表現する必要ってあるのかなという気がしてならなかった。わかりきったことをもっともらしくやられてもなぁ・・・普通ですよとしか言いようがないよ・・・。特に、言うまでもない様なオチの付け方など、もはやコメディ。

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