公衆浴場で働き始めた15歳の少年マイク(ジョン・モルダー=ブラウン)は、職場の先輩であるスーザン(ジェーン・アッシャー)に憧れる。しかしスーザンには婚約者がいた。片思いを募らせたマイクの行動はエスカレートしていく。監督はイエジー・スコリモフスキ。1970年の作品で日本では1972年に劇場公開されたが、この度デジタルリマスター版で上映された。
 スコリモフスキの青春残酷物語!スーザン側からしたらマイクの暴走は結構怖いし、ストーカー行為に他ならないだろう。とは言え、可愛い後輩でもあるし、本来気のいい少年なんだろうしからかいたくもなる。双方の思いの食い違いが行くところまで行ってしまうのが悲しい。
 少年の片思いの悲劇であると同時に、いきなり「世の中」に放り出されてしまった故の悲劇であるようにも思った。マイクは高校に進学せずに働き始めているので、まだ子供といっていいくらい。女性客の思わせぶりな態度(公衆浴場ってこんなセクハラ三昧の職場なの?!)に混乱しっぱなしだし、職場に両親が来たら無邪気に喜ぶ。まだ大人としての立ち位置を獲得しておらず、スーザンがいるような大人の世界、好き嫌いだけではない人間関係の機微はよくわかっていない。そのよくわかっていなさが、事態をややこしくしていく。思いがまっすぐすぎて、「これは無理目だろ」という引き際を見失っているのだ。そこ、どんなに押しても扉開かないよ・・・!スコリモフスキは近年の『アンナと過ごした4日間』でも、一見不可解で不気味にも見える片思いのありかたを描いた。自分の思いをコミュニケーションに落とし込めない人たちの悲しさがある。
 デジタルリマスター版だからということもあるだろうが、色彩が鮮やか。プールの青色、ペンキの赤色、そしてスーザンの黄色いエナメルコートのコントラストが美しい。

早春 デジタル・リマスター版 [Blu-ray]
ジェーン・アッシャー
復刻シネマライブラリー
2018-03-23


アンナと過ごした4日間 Blu-ray
アルトゥール・ステランコ
紀伊國屋書店
2012-11-24