二村ヒトシ・岡田育・金田淳子著
 AV監督の二村と、腐女子文化研究家の金田、そして進行役の文筆家で同じくBLに造詣が深い岡田の3人が、男性の肉体の官能について熱く語る。イベント内容の収録に描き下ろしを加えた対談集。
 第一章タイトルがいきなり「これからのアナルの話をしよう」なので結構なパンチの効き方だが、本文も主に岡田・金田のテンションの高さと語彙の豊富さによるパワーワード連打で大変面白かった。腐女子って大概言葉使いのスキル高いですね・・・。やはり妄想力の強い人は言葉の使いこなし度も高いのか。BLというファンタジーにおける男性の官能を語ると同時に、生身の男性の身体機能の仕組みから解説、また実際にゲイ男性への聞き取りを行う。男性にとって、ファルス以外の機能で官能を得るというのはかなり抵抗がある、自分が性的対象として見られるのも受け入れがたい、と二村は指摘する。自らが性的対象であることを否定したいという構図の非対称性に男性当人は割と無自覚っぽいのが不思議でもある。一方で、ファルス中心のあり方に息苦しさを感じる男性も少なくない。官能にこうでなければ、という枠はないはず、享受するもしないももっと自由でいい(まあ法律の範囲内でですが)。「こうであろう」とされている男性の官能は、一見主体的なようでいて「こうであろう」に振り回されるものだったと言える。BLは主に女性が享受するものとは言え、そこから逸脱しているからウケてる(一方で強い拒否感を持たれる)んだろうなぁ・・・。欲望の対象に自分自身は当事者として介在しないというBLの読み方は、男性にとってはなかなか習得しにくいもののようだ。しかしそのハードルを越えると新しい世界が!(という実例が本著中にもあって笑ってしまった)