ギィ・ド モーパッサン著、永田千奈訳
 男爵家の一人娘ジャンヌは、両親から愛され何一つ不自由なく育った。17歳で預けられていた修道院から出て実家に戻ったジャンヌは、将来への希望に胸を膨らます。美青年のジュリアン子爵と結婚するが、人生はジャンヌの希望を裏切り始める。
 昨年、映画化作品(『女の一生』ステファヌ・ブリゼ監督)を見て原作も読んでみた。光文社古典新訳文庫版で読んだのだが、新訳のせいかとても読みやすくあっという間に読めた。話としては大変とっつきやすいので、古典文学だからと構えずもっと早くに読んでおけばよかったなー。しかし面白いのだがジャンヌの「人生」は転落の一途で読んでいて実に辛い。ハンサムだがケチで浮気性の夫ジュリアン、甘やかされ放題で金ばかりせびる息子ポールという家族の存在によって、どんどん不幸になっていくのだ。あーなんとなく流されるように結婚しちゃダメ!と地団太踏みたくなるが、この時代の女性には他の選択肢はさしてなかったはず。加えて、そもそも男女関係なく人生にはっきりとした選択肢はなく、多くの人間はほぼ流されるように生きるものではないかとも思えてくる。ジャンヌは自分に降りかかるものをただ受け入れていくように見えるが、それは読者の姿からそう遠いものではないだろう。不運・不幸に流されていく中でも美しくきらめく忘れられない瞬間があり、そこが人生の美しさでもあり厄介さでもあるように思う。

女の一生 (光文社古典新訳文庫)
モーパッサン
光文社
2013-12-20


脂肪のかたまり (岩波文庫)
ギー・ド・モーパッサン
岩波書店
2004-03-16