中国・西安市の博物館で研究に勤しむ考古学者のジャック(ジャッキー・チェン)の元を、インドの考古学者アスミタ(ディシャ・パタニ)が訪ねてくる。約1000年前にインドと中国の間で起きた戦乱の中、消えてしまった財宝を探す為、専門家であるジャックの協力を仰ぎたいというようだ。ジャックは親友の息子である財宝ハンターのジョーンズ(アーリフ・リー)と共に、中国からドバイ、インドへと財宝の謎を追って世界を巡る。監督はスタンリー・トン。なおエンドロールがすごく長いけど、おまけ映像とかはないです。
 インドと中国の合作でスター俳優を起用、明らかに大々的なロケや豪華なセットが使われているのに、妙にスケール感がなく、こじんまりと、かつ散漫とした印象。あれっもっと華やかかつお祭り騒ぎ的な映画なのかと思ったのに・・・。正直拍子抜けだった。絶えない
 ストーリーの規模の割に登場人物が多いが、これは何か大人の事情的なやつなのだろうか。ジャックのアシスタントたちとか、あんまり必要性を感じない。登場人物が多く、それぞれそれなりに動かさなくてはいけないのに話の展開はやたらと早い。早いというよりも、途中の過程を変な省略の仕方をしているように見える。本来のストーリー上の技法としての省略ではなく、単に編集段階でカットした感じ。本来はここにもう一展開あったんじゃないかなという部分や、不自然な衣装替え等が散見された。お金がかかっていそうな割に、こういう部分がやたらと大味。なんだか勿体ない。
 また、妙に動物推しな所も不思議。狼にしろ、ライオンにしろ、ハイエナにしろ、それ出す必要あります・・・?ストーリー上の必然性は殆ど感じない。動物のCGは結構手間暇かかると思うんだけど、その労力を他に回せなかったのか。そんなに動物が好きなのか。
 とは言え、ジャッキーが出てきて動き始めるだけで、とりあえずは「映画」として体面が保たれるんだからすごい。これがスターということなんだろうなぁ。インド映画要素もあるので当然群舞が盛り込まれているが、ジャッキーもちゃんと踊っていて、なんだかありがたいものを見た気分になる。そして最後の最後、ジャッキー映画のNG集の代わりのような「踊り」の多幸感にはジャッキーの人徳をかいま見た感ある。
 なお作中、ジャックはインディ・ジョーンズに準えられるが、インディよりもジャックの方がはるかに研究者としての自覚がしっかりしている。「財宝」の正体にしろ、学者にとっての宝は何なのかという視点なのだ。むしろアンチ・インディと言えるだろう。本作中の「ジョーンズ」は盗人だしな。

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ジャッキー・チェン
KADOKAWA / 角川書店
2018-01-26