パリ郊外に住むクレール(カトリーヌ・フロ)の元に、長年音信不通だった元義母のベアトリス(カトリーヌ・ドヌーブ)から連絡が入る。重要な話があるから会いたいと言うのだ。30年前、ベアトリスが家を出て行った後に父親は自殺し、クレールは彼女を許せずにいた。しかし、脳腫瘍を患っているというベアトリスを放っておけず、不承不承付き合うようになる。監督はマルタン・プロヴォ。
 クレールは助産師という仕事にも、これまでの自分の人生にも誇りを持っている。地に足の着いた生活をする彼女には、破天荒で感情の赴くままに生きるベアトリスのやり方は理解できない。生活者として生き生きとするクレールと、放蕩者として生き生きとするベアトリスは対称的だ。しかし2人の間には、何か通じ合うものが生まれてくる。かつて短い時間とは言え母娘であったから、父親=夫という2人が愛し合た存在があったからというのは一因にすぎないだろう。むしろ、それぞれのやり方で人生を楽しんでおり、相手の人生を尊重しているからではないだろうか。クレールはベアトリスの食生活や喫煙等生活習慣に色々口出しするし、ベアトリスはクレールの野暮ったい服装やストイックな食生活に難癖つけるが、ある一線以上はお互い踏み込まない。口出しはするが、相手を否定するようなことは言わないという大人の振る舞いだ。ベアトリスはずうずうしく振舞うが、一線は弁えているように思えた。
 この距離感の保ち方は、クレールと恋人(らしき)ポール(オリヴィエ・グルメ)の間にも言える。ポールは親切で色々とクレールの世話をやいてくれるが、彼女が踏み込んでほしくなさそうな部分には踏み込まない。クレールはポールに好意は持っているが、常に一緒にいてほしいわけではないだろう。それぞれ自分の生活があり、お互い都合がつくときに一緒に過ごすというスタンスの無理のなさが好ましい。クレールは節制したきちんとした生活を好むのに、自由人ぽいポールと付き合っているしポールの生活態度についていちゃもんつけたりしない。それはそれ、これはこれ的な、領域の重なる部分と重ならない部分をちゃんと見分けている感じがして面白かった。

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