伝説のジェダイであるルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミル)の元に辿りついたレイ(デイジー・リドリー)。ファーストオーダー、そしてフォースを使えるカイロ・レン(アダム・ドライバー)に対抗するべく、彼にレジスタンスへの協力を求めるが、ルークは拒む。一方レイア(キャリー・フィッシャー)率いるレジスタンスは、ファーストオーダーの猛攻にさらされていた。ポー(オスカー・アイザック)とフィン(ジョン・ボイエガ)は新たなミッションに挑む。監督はライアン・ジョンソン。
 吹替え版で見たが、悪くない。むしろ、私にとってのスターウォーズは吹替え版のイメージが強い(よくよく考えるとエピソード4,5,6は字幕で見たことがない・・・日本語で喋るルークしか知らないわ)ので、違和感なく馴染んだ。あざとくかわいいキャラでくすぐり入れやがって・・・と若干イラっとしていたポーグたちも、チューイとの攻防含め悪くない。可愛いんだけど、瞳の中に虚無があるというか、そこはかとない邪悪さを感じるのは私だけだろうか。
 2時間越えの長尺で、スターウォーズにさほど思い入れがない身としては間が持つのかちょっと心配だったのだが、意外と飽きずにテンポがいい。今回はレイのパートとフィンたちレジスタンス、そしてファーストオーダー側のおおよそ3パートが平行して進行する。作品1本通して大きなストーリーがあるというよりも、中規模のエピソードを団子状に回収していくような構成なので、正直構成の妙があるとは言いづらいし、展開上、色々つっこみたくなるところはある(場面移動の動線がちょっと無駄じゃないかなというか・・・そこに舞台集中させる必要あります?って箇所がある)。レジスタンスの戦略の上手くいかなさが、状況の困難さというよりも戦略の杜撰さに見えてしまうのも痛い。しかし、1エピソードごとに盛り上げて回収、ということを小刻みにやっていくので、長尺でのダイナミズムや全体としての話の整合性には乏しいかもしれないが、飽きずに見られた。
 スターウォーズはエピソード6まで父殺しの物語を繰り返してきたが、前作今作と、そこは、もうぼちぼちいいんじゃないかな?巨悪とか、それいります?というモードになってきたのでは(ルーカスの手を離れたのが大きいのかもしれないけど・・・)。ないしは父殺しのウェイトがそれほど高くなく、ちゃっちゃとやっちゃって次の段階に移りたいということだろうか。えっそこもう処理しちゃうの?!とびっくりした。
 今回、「次の段階に移りたい」という点では、これまでとは大分大きな変化がある。ここが旧来のファンにとっては受け入れがたい所なのだろうが、個人的にはすごくいいなと思った。いわゆる選ばれし人たちの物語ではないという方向に舵を切っているのだ。最初からヒーローな人はいないし、血筋によって英雄・傑物になるわけではない。そもそも、英雄という存在すら怪しいのでは。英雄的な行為の種子は様々な名もなき人の中にあって、きっかけがあればそこかしこで芽吹くかもしれない。終盤の「少年」はそういうことじゃないかなと。フィンもレイも、たまたま主人公なんだと思う。特にフィンの「何者でもなさ」は新鮮ですらある。
  今回、レイもフィンも厳しい環境で育ってきたにしては他人の話を信じすぎというか、単純すぎる気がしたが、2人とも人間関係が乏しくて人の心の機微があんまりわからないということなのかなー。特にレイは同じ感覚を共有できる人って今まで全くいなかったろうから、通じ合うものがあるとわかると信用しちゃうんだろうな。