札幌、ススキノでトラブル解決に奔走する探偵(大泉洋)と相棒・高田(松田龍平)。高田の大学の後輩が、失踪した女子大学生・麗子(前田敦子)の捜索を依頼してきた。調査に乗り出した探偵は、表向きはモデル事務所の怪しげな組織に辿りつく。そのオーナー、岬マリ(北川景子)は探偵を翻弄するのだった。原作は東直己の「ススキノ探偵シリーズ」。監督は吉田照幸。脚本はシリーズ1,2に引き続き古沢良太。余計なサブタイトルを付けなかったのは正解だと思う。
 本シリーズ、大泉洋がパンイチになるのがお約束なんでしょうか。今回かなり寒そう!これは厳しい(笑)!前作では往年の東映映画のごとくいきなりお色気要素を投入してきてどうした?!と思ったが、今回は控えめ。脱ぐのはほぼ大泉のみで、全年齢向き、ゴールデンタイムでのTV放送OKな画になっている。
 シリーズ3作目ということで、作品フォーマットがほぼ固まっている。とある事情を抱えた美女が探偵を翻弄し、ミステリとアクションと笑いとちょっと人情と涙、という定番。シーズン商品として1年に1本くらい見られると嬉しい。ほどほどに気を抜いて見られる面白さ度合いもちょうどよい。アクションは1,2作目に比べるとちょっと控えめ、かつあまり効果的な見せ方ではないように思え(スロー中途半端に使いすぎで、せっかくそこそこ長いシークエンスなのにぶつ切りされているように見える)、少々残念だった。ともあれ東映の定番として今後も続いていくといいな。
 毎回女性が物語の鍵を握るシリーズだが、今回は3人の女優がそれぞれ役柄にはまっていて魅力的。北川景子ってやっぱり美人なんだな・・・。麗子役の前田は、計算高いがあっけらかんとした女性を演じると非常にハマっており、やはり筋がいい。またマリの過去を知るかつての同僚(というか先輩)モンロー役の鈴木砂羽はどっしり構えた貫禄と気の良さが感じられる演技。今回のメイン登場人物であるマリはもちろんだが、麗子もモンローもキャラクターの存在感、こういう人なんだろうなと想像させる厚みがあってなかなか好感が持てた。
 マリの行動の動機がどうにもやるせなく切ない。他人から見たらバカみたい、何の意味もないように見えるかもしれないが、本人にとっては大真面目で、人生を賭ける価値がある。傍から見たら意味がない・得がないとわかっていても、突き動かされるようにやらざるを得ない、やらずにはいられない人が出てくる物語が自分は好きなんだなぁと改めて思った。それを否定しない探偵の悔恨と優しさが染みる。このシリーズ基本的に、この世から落っこちそうな人を探偵が助けようとする話なんだよな。

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大泉 洋
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2013-11-01