フォルカー・クルプフル&ミハイル・コブル著、岡本朋子訳
 バイエルン地方の村で、悪質旅行業者、元医師の作家が相次いで殺された。どちらも死体の首が鎌で切られていたことから、警察は連続殺人とみなす。クルフティンガー警部は部下を率いて捜査に着手するが、奇妙な暗号に振り回され右往左往する。
 ドイツはドイツでも大分地方色が強いので、邦訳されているドイツミステリとはちょっと味わいが異なる。方言や地方独自の文化への言及も多く、ご当地ミステリ的な味わいも。クルフティンガーは偏屈な中年男だが警官としては結構真面目。とはいえ頭が切れるというタイプでもなく、勘違いも多い。ちょっと独特の鈍さ(まあ現実の人間はこんなもんかなと思うけど・・・)があって、捜査が遅々と進まず読んでいて少々いらっとした。クルフティンガーとしては不本意だが、妻の方が記憶力がいいし勘もいい。妻に捜査に協力してもらうものの、不満タラタラで険悪にもなる。とは言え、なんだかんだで円満な夫婦模様も楽しいクルフティンガーはちょっと鈍いしいわゆる切れ者ではないし頑固だけど、人間としては真っ当なのだ。ミステリとしては謎解きが唐突な感があり、また暗号が恣意的過ぎるんじゃないかと言う気もするが、登場人物の私生活のゴタゴタや地方色のディティールが楽しい作品。事件自体は陰惨なんだけど。