ネレ・ノイハウス著、酒寄進一訳
 風力発電施設建設会社で、夜勤についていた警備員の死体が発見された。ビルには何者かが侵入した形跡があり、更に社長のデスクにはハムスターの死骸が置かれていた。風力発電施設建設の反対運動に関係しているのかと思われた事件だが、次々に怪しい人物が浮かび上がっていく。
 刑事オリヴァー&ピアシリーズの5作目。ピアが新たなパートナーとの中国旅行から帰ってくるところから始まる。これまで登場した人物や人間関係を踏まえた内容なので、できれば時系列上の前作(『白雪姫には死んでもらう』。日本での翻訳出版の順番は本国での発行順とはずれている)を読んでからの方がいいかもしれない。特にオリヴァーの絶不調振りには目を覆うものがあり、本作から本シリーズを読む読者には、普段はもうちょっと出来る子なんです!と庇ってあげたくなるレベル。これまでもちらちら見え隠れしていたが、女性を見る目があんまりない人なのかな・・・。見た目がか弱い女性に弱く、自己が強い女性にはそそられないらしい。今回、コロっと落ちるんでびっくりするのを通り越して退いたわ!
 環境保護問題に絡んだ巨大な陰謀が並走していくが、人間、とっさの行動の動機はそんな高尚なものではなく、ストレートに欲望に絡むことが殆どだというのが、本シリーズの一貫した所だと思う。色と欲が泥臭い。それは犯人や関係者だけでなく、警察側も同じだ。オリヴァーもピアも、他の同僚たちも完璧ではなく色々難がある普通の人たちだ。そこが親しみやすさでもあり、魅力でもある。不完全な人たちの集団の方が、人間ドラマに広がりがあるんだなと改めて思った。オリヴァーの今後が大分心配ではありますが・・・

穢れた風 (創元推理文庫)
ネレ・ノイハウス
東京創元社
2017-10-21





白雪姫には死んでもらう (創元推理文庫)
ネレ・ノイハウス
東京創元社
2013-05-31