大手ロビー会社コール=クラヴィッツ&Wのトップロビイスト、エリザベス・スローン(ジェシカ・チャステイン)は、銃擁護派の議員から依頼を受けるが、それを断り銃規制法案成立を目指してロビー活動を行っている小規模な会社からのスカウトに応じる。部下を引き連れ移籍したスローンは数々の奇策や時にグレーな手法を駆使し、情勢を変えていく。しかしコール=クラヴィッツ社は、スローンを引きずりおろそうと彼女の過去を洗い出していた。監督はジョン・マッデン。
 スローンが聴聞会に召喚されている所から始まり、時間をさかのぼってこれまでの経緯が語られる。ストーリー進行の段取が良くスピーディで、職人的な手さばきの良さのある作品。作中の情報量は非常に多いのだが、整理されているのでそんなに混乱することもなかった。面白いが、自分にとっては苦手な世界の話だ。どいつもこいつもギラギラしすぎている・・・主人公が一番ギラギラしているわけだが。
 『Miss Slone』というシンプルな原題が本作にはふさわしい。邦題はドラマティックだが、ちょっと作品のニュアンスと違うと思う。本作は徹頭徹尾、スローンという1人のロビイストの話だ。彼女の運命は女神の采配によるものではなく、当然彼女が女神のごとき存在なわけでもない。時に泥をかぶる事や卑劣な手段を取る事も厭わず、スローンは自分の力でとことん闘う。そこに「見えざる手」などと言っては却って失礼な気がした。
 スローンがどういう人なのかということは、あくまで「仕事」を通して描かれる。作中、スタッフの1人が、過去の体験によって銃規制派になったと思われたくないともらすのだが、スローンにどのような過去があって今の彼女になったのかということは殆ど言及されないし、彼女も過去の体験を引き合いに出すことはない。自分が何者なのか証明するのは自分の能力と行動のみ、家族との逸話や過去の悲劇により色を付ける必要はないというわけだ。とは言え、他人の過去を引き合いに出して同情票を集める画策はするのだが。そういう部分では「主義」は発揮しないんだな。
 スローンは往々にしてイリーガルなやりかたもする。仕事上の目的・課題達成の為だからというのはもちろん、目的が正しいという信念があるからだ。非常に打算的な面と理念のぶれない面とが両立されている、彼女のメンタリティが面白い。彼女はやがて、政界、経済界、そして司法の腐敗と癒着に挑むことになる。自身のキャリアだけでなく個人としてのプライド、プライベート等過大すぎるものを危険にさらすのだが、彼女にとっては目的が正しいのだから、やる。とは言え、彼女はこれまでそういった腐敗や癒着を(スタッフの「過去」と同じく)散々利用してきたんだろうしなぁ・・・。彼女の中の正しさの基準って何なんだろうなとふと思った。



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