地方からパリへ引っ越してきたマヴィ(ロリータ・シャマ)は友人のアパートに居候しているが、彼女の恋人が頻繁に出入りをしている部屋では落ち着けずにいた。ある日、カルチェ・ラタンの古書店で従業員募集の張り紙を見たマヴィは、店主ジョルジュ(ジャン・ソレル)に雇われ、古書店の2階に間借りすることもできた。2人は親子ほどの年齢差があるが、徐々に惹かれあう。しかしジョルジュの過去には秘密があるようで、不審な男が店を訪ねてくる。監督はエリーズ・ジラール。
 若い女性と年配男性とのラブストーリーには、個人的には見ていてあまりいい気がしないことが多い。往々にして男性側の欲望が出過ぎているように感じられるからだ(もちろん必然性があって年齢差設定になっていることもあるが、特に意味なく女性が若いってケースの方が多い)。しかし本作にはそんなに嫌な感じはしなかった。ジョルジュは気難しいがマヴィとは対等に接するし、彼女を脅かすような振る舞いはしない。マヴィもジョルジュにはあまり遠慮しないし結構ずけずけものを言う。
 マヴィとジョルジュの関係は都合が良すぎて(何しろマヴィにとっては仕事も住家も恋人も一気に手に入る)、安直なマンガのようなのだが、本作そもそも、マヴィの想像・妄想が綴られているのではないかなという気もした。だとしたら安直で全然かまわないわけだ。パリの風景があまりに狙い澄ました「パリ」然としたものなのも、それなら納得がいく。
 マヴィは頻繁に「自分の為に」文章を綴る。作中随所でマヴィのモノローグやジョルジュとの会話の音声が流れ、それがナレーションとしてストーリー進行するのだが、この音声のみの部分はマヴィが作った物語なのではないか。マヴィにとって理想的な年上男性としてのジョルジュはこう言うだろう、というような、画面上に姿実際にを現すジョルジュとの齟齬を何となく感じる。映画としては他愛ないといえば他愛ない、ジョルジュの過去の設定等も中途半端なのだが、マヴィがあくまで「自分の為」に語るのであれば、その他愛なさこそが中核になる作品とも見えた。本作で切り取られるのはマヴィにとっての人生の隙間、インターミッションみたいな期間だろうから。

ベルヴィル・トーキョー Blu-ray
ヴァレリー・ドンゼッリ
2015


昼顔 Blu-ray
カトリーヌ・ドヌーヴ
紀伊國屋書店
2011-09-24