原田マハ著
第二次大戦終結直後の沖縄に派遣されることになった、若き精神科医エド・ウィルソン。心に傷を負った大勢の兵士の診察に奔走する中、息抜きは同僚たちとのドライブだった。ドライブ中、沖縄の芸術家たちが作った共同体「ニシムイ美術村」に辿りつき、若き画家たちと交流が始まる。
ニシムイ美術村は実在した共同体だそうだ。それを沖縄駐在のアメリカ人の視点で描く所にひねりというか苦肉の策というかが見える(このあたりは文庫版についている佐藤優の解説が的確だった)。画家たちが抱える怒りはエドにとってわからないものであり、そのわからなさ、共有できなさは沖縄と本土を巡る問題を投影したものでもある。著者にはこれを描き切れるのか、沖縄の外から書いていいのかどうかという躊躇があったのかもしれないが、書き方で回避している。ただ、面白い題材なのだが、(著者の作品全般そういう印象なんだけど)画家たちの作品に対する対峙の仕方や、作品のディティール等の描写が通り一遍であっさりしている。全部予想の範疇内でほどほどに収められている感じで、読みやすいが後に残るものがない。もったいないなぁ。


太陽の棘 (文春文庫)
原田 マハ
文藝春秋
2016-11-10


楽園のカンヴァス (新潮文庫)
原田 マハ
新潮社
2014-06-27