第二次世界大戦中の1940年、北フランスまで勢力を広げたドイツ軍は英仏連合軍をフランス北部の港町・ダンケルクに追いつめていた。イギリス首相チャーチルは、ダンケルクに取り残された兵士40万人の救出を命じ、5月26日、軍艦の他に民間の船舶を徴収・総動員したダイナモ作戦が発動する。監督はクリストファー・ノーラン。
 IMAX版で鑑賞。自分が見られる上映形態のうち、ノーランが意図した画角に一番近いのがIMAXだということで選んだのだが、正直な所、上下左右、多少切れていても私は気付かなかったんじゃないかな・・・。どうしてもこの画角じゃないと駄目、というほどの絵の説得力は感じなかった。見比べれば色々と違うのかもしれないけど、わざわざ見比べる意欲が沸くかというと今一つ。私がこういう部分にあまり拘らないというのも一因だし、見ていると(内容とか音とか)結構疲れる作品だということも一因。 とは言え、疲れるというのは、それだけ迫力があるということでもある。特に音量、音響のデリケートさはIMAXで見て良かったと思える点だった。爆撃機のエンジン音の迫り方や銃撃の音など、見ていてびくっとするくらい迫ってくる。
 自分にとってノーラン監督の作品は、新作を初見で見ている間はすごく面白いんだけど、再見するとこんなに構成下手だったっけ?間延びしてたっけ?と思うことが多い。語り口があまり上手くないという弱点があるのだ。本作はノーラン作品としては尺がかなりタイトで、こなすべき出来事を短時間に圧縮してどんどん処理していく感じだった。慌ただしさ故に、物「語る」感がわりと薄く、そのおかげで弱点が目に付きにくかったように思う。浜辺の兵士、パイロット、民間船舶という3つの視点が入れ代わり立ち代わり提示されるが、それぞれ時間の圧縮具合が違うので、全体的に何がどうなってどことどこがつながるという流れはわかりにくい。これは意図的なものだろう。あえて俯瞰の「物語」を見せないことで、登場人物たちのその場のことしかわからないという、戦争の只中にいる感じが強まるのだ。
 ダンケルクの救出劇は、イギリスにとって敗退ではあるが人々の勇気と倫理(見殺しには出来ないという)を示した英雄的なエピソードだ。しかしこの出来事の後、戦争は更に激化し、更に大勢の人が死ぬ。登場人物の中にも、この後の命運が危うい人もいる。救出の高揚感は、一時の気休めみたいなものでもある。ラストに映し出される人物の顔がどこか懐疑的な表情にも見えるのは、周囲の浮き立ちに対しての違和感でもあるだろう。

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