レベッカ・ブラウン著、ナンシー・キーファー画、柴田元幸訳
 日本では小説家として知られているレベッカ・ブラウンと、強烈な色を使って様々なポートレートを描くナンシー・キーファーのコレボレート作品。テーマは設定せずに、キーファーの絵を見てブラウンが文章を書く、というスタイルで制作された作品だそうだ。
 ここにいることの痛みや違和感、生きることへの失意や諦念など、どちらかというとどす黒く、かつ突き刺さる作品が多い(「誰も」など痛切すぎて辛い)。しかし嘆きに溺れるのではなく、ブラックユーモアを交えて客観視する冷徹さをはらんでいる。感情を描くが情に流されないことで作品の強度が保たれているように思う。
 なお、本作の日本での出版に伴うレベッカ・ブラウンと柴田元幸のトークイベントに行ったのだが、大変面白かった。ブラウンが英語で、その翻訳を柴田が日本語での朗読があったのだが、先日見た映画『パターソン』の中で言及されていた「翻訳された詩はレインコートを着てシャワーをあびるようなもの」ということが、残念ながら実感できてしまった。どんなにいい翻訳も、原語とは違うんだよなぁと。詩の場合は韻や語感が大きく関わるので余計にそう感じられるのだろう。

かつらの合っていない女
レベッカ・ブラウン
思潮社
2017-09-11


犬たち
レベッカ・ブラウン
マガジンハウス
2009-04-23