デジタルリマスター版で鑑賞。サム・ペキンパー監督、1977年作品。
 第二次大戦中のロシア戦線。ソ連からの奇襲・猛襲にさらされドイツ軍は圧倒的不利だった。その中で、シュタイナー(ジェームズ・コバーン)曹長率いる小隊は絶対的な信頼を集めていた。フランス戦線からプロイセン貴族であるシュトランスキー(マクシミリアン・シェル)大尉が赴任してくるが、名誉欲が強く鉄十字勲章に執着するシュトランスキーは、捕虜の扱いを巡ってシュタイナーと対立する。
 ドイツ軍視点で描く第二次大戦だが、アメリカ映画故ドイツ人の登場人物の台詞は英語。最初のうちはここがどこで彼らがどこに所属する兵士なのかも明言はされないので、見ているうちに、だんだんどこの国の話なのか曖昧になってくる。ソ連兵はロシア語を話しているが、シュタイナーたちに関しては自国への言及も少なめ。特にドイツ軍=ナチスという側面をあまり見せないようにしているように思った。観客が多少なりとも共感しやすいようにという意図ではあるのだろうが、同時に、彼らはあまりナチスの思想に染まっておらず、だからこそ旗色が悪いソ連戦線に送られたのかなとも思えてくる(執務室にヒトラーの肖像がかけられているが、落ちてもそのままだ)。
 そもそも、シュタイナーは軍人ではあるが組織や国への帰属意識、ナショナリズムはあまり強くなさそうだ。いわゆる(国家が想定するような)「愛国者」には見えない。彼は優秀な軍人ではあるが、あくまで職能としての軍人で、メンタリティは少々違うのではないかと思った。彼は何よりもまず個人であり、帰属意識はあるとしても自分の小隊に留まっているように見える。自分と自分の部下を生き延びさせることが最優先で、名誉や国の行く末は二次的なもの(というよりも本人は殆ど気にしていないもの)なのだろう。本隊とはぐれて四苦八苦しつつも、「だが自由だ」と笑うところに、シュタイナーの本質があるように思った。本来、軍人に向かない人なのだ。
 対するシュトランスキーはろくな戦場経験はなさそうだが名誉欲は旺盛で、勲章の為なら他人を見殺し手柄を横取りすることも厭わない。嫌な奴だが、勲章でもないと親族に顔向けできないとぽろっと漏らすあたり、妙に人間味がある。やっていることは最低だが・・・。勲章欲しさに彼がやる行為は、平時だったらここまで極端なことはやらないだろうというもので、戦時下だから許されてしまう怖さがある。人間のたがが段々外れていくのだ。シュタイナーとシュトランスキーが、共に(違う方向ではあるが)ある一線を越えてしまうクライマックスは悲惨だが、どこか笑ってしまう悲惨さでもある。こんなに理屈が通らないことってあるか!と。シュタイナーの暴走は理屈が通らないことへの怒りでもあるように思う。

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