デボラ・インストール著、松原葉子訳
 様々な仕事をするアンドロイドが普及した近未来のイギリス。両親を亡くして家と遺産を相続したものの無職のままのベンは、弁護士として活躍する妻エイミーを苛立たせていた。ある日ベンは、自宅の庭に古びた旧式ロボットがいるのを発見する。なぜかそのロボットを特別だと感じたベンは、彼を「タング」と名付ける。彼を修理できる作り主を探しに、タングと共に旅に出るが。
 弱気な男とロボットとの珍道中を描くロードムービー的な作品だが、タングの造形はロボットというよりも、幼い子供のそれだ。そこが可愛らしくて楽しいという人もいるだろうが、私はどうも物足りなかった。ロボットならロボット、AIとしての知性と成長を持つはずで、人間のそれとは違うからこそ面白いのに!と。著者はSF的な意図は本作に込めておらず、子供のメタファーとしてのロボットとして描いているのだろう。でもそれだったらロボット設定にしなくていいよね(笑)。当初ベンは自分自身未熟で子供の親なんてとてもとても、という感じなのだが、手間のかかるタングと共に生活することで、誰かをケアすること、心を配ることを学んでいく。本作冒頭、家庭内でのベンの振る舞いは、エイミーが出ていくのも当然だよ!というしょうもないもの。このしょうもなさ、周囲への配慮のなさが妙に生々しく説得力があった。なお、ベンとタングが日本に行くパートがあるのだが、日本人はロボット好きというのはもう定説になっているのか・・・

ロボット・イン・ザ・ガーデン (小学館文庫)
デボラ インストール
小学館
2016-06-07