元ボクサーで今は警備会社のアルバイトをしている朝秀晃(窪塚洋介)は、行方不明の野良猫・マルを探していた。保健所でマルを抱いた男を見つけ声をかけるが、その男・梅津郁巳(降谷建志)はこの猫はリリーという名前で自分が飼うんだと言い張る。猫を介してマル、リリーと呼び合うようになった2人は、元恋人からストーキングされている土屋冴子(市川由衣)のボディーガードの仕事を秀晃がしたことがきっかけで、彼女を東京まで送り届けることにする。監督は榊英雄。
 窪塚と降谷という、ある時代のアイコン的な2人の共演。私は「ある時代」ど真ん中の世代なので、感慨深くもあり懐かしくもあり。本作の雰囲気自体、90年代のVシネとか漫画とかを彷彿とさせるように思う。どこがどう、と問われると答えにくいのだが、全体の設定のふわっとしているところとか、いきなり黒社会や政界が絡んでくるところとかかな・・・。
 とは言え懐古趣味という感じは全然しないし、窪塚も降谷も現役感がしっかりある。窪塚はここ2,3年でやっぱりスター感あるなと思うことが増えたし、演技の技術も明らかに伸びている(何せスコセッシ監督作に出演したしなー)。また降谷は、ここにきてそんな直球のあざとさ見せちゃう?!可愛い感じ出しちゃう?!という意外さを見せている。こういう人懐こいわんこ系キャラがハマるとは・・・。諸々可愛すぎてやばかった(私が)。
 秀晃も郁巳も決していわゆる勝ち組、社会の強者というわけではないし、清廉潔白で正義の味方というわけでもない。郁巳は人のいいお兄ちゃんと言う感じではあるが、秀晃はボクサー時代に諸々やらかしており決して褒められたものではなかったことが、徐々にわかってくる。そんな彼らが、なけなしの勇気と意地でふんばる姿がかっこ悪くもいじらしい。冴子親子に自らの生い立ちを重ね、自分の過去を振り切るかのように無謀な策に出る秀晃と、そんな秀晃への共感からか憧れからか、一方的に彼を鼓舞する郁巳。特に郁巳の能天気さ、無邪気さは時に秀晃をイラつかせるものなのだが、周囲の人たちを和ませ、徐々に彼らの拠り所になっていったようにも思えた。
 楽しく見たが、作中の女性の処遇が暴力にさらされるものな所、女性登場人物の造形がわりと単純な所は気になった。一方的な暴力は、フィクションの中とは言えやっぱり見ていてあんまりいい気はしないので(こういう所も古さといえば古さなのか)。

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アンドリュー・ガーフィールド
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
2017-08-02