アイスランドの漁村で暮らす少年ソール(バルドル・エイナルソン)とクリスティアン(ブラーイル・ヒンリクソン)。ソールは大人びた少女ベータに夢中だった。クリスティアンはソールの後押しをしつつも、彼に対する特別な思いをもてあましつつあった。監督はグズムンドゥル・アルナル・グズムンドン。
 思春期の少年少女らの、同性の友人との濃密な関係、自分のセクシャリティに対する戸惑いを描いた作品だが、何よりも強く印象に残ったのは、小さな町の息苦しさだ。ソールとクリスティアンが暮らしているのはいわゆる田舎の小さな漁村で、周囲は海と山ばかり。隣の家まで何キロ離れているんだと言うような地域だ。当然人口は少ないので、村人はほぼ全員顔見知り。更に人数が少ない子供は全員顔と名前が知られており、子供たちのたまり場になる場所も限られているので、カフェに行けば同級生がいるし、クラブにもぐりこむと母親が地元の男性と踊っている。人づきあいが苦手な人、周囲から浮いている人にとってはかなりしんどい環境だろう。誰にも会わずに一人でふらふらしたいなと思ったら、野山をふらつくくらいしかやることがない。安心して自宅にいられる環境ならいいのだろうが、ソールは姉2人と同室、クリスティアンは父親と折り合いが悪く、家にも居辛い。2人は度々、つるんで外を歩き回っているのだが、要するに行く場所がないんだなぁと。2人の仲の良さは村の子供たちからも揶揄されており、他の子供たちと顔を合せるのも面倒くさいのだ。
 小さいコミュニティの息苦しさを感じると同時に、外部からの情報が入ってきにくいことの息苦しさ、世界の狭さも強く感じる。子供達だけでなく、ソールの母親のように大人でも息苦しく感じる人がいる。本作の時代設定は現代よりも少し前、まだインターネットが普及しておらず、携帯電話も登場していない頃。子供が「外の世界」の情報を得るにはテレビや雑誌しかなく、セクシャリティに関する情報等はなかなか入手できない。自分のように悩んでいる人は他にもいるのか、どういう受け止め方をすればいいのかという判断材料が乏しいのだ。舞台となる風景は広大なのに(アイスランドの地形ってやっぱり独特だよなーと思う)のに、描かれる世界は閉塞的で風景の広さと反比例していく。ロケーションが開けているだけよけいに「ぼっち感」が強まるのだ。
 クリスティアンはソールよりもやや大人で、自分のセクシャリティにも、周囲がそれになんとなく気付いていることも自覚的だ。それに比べてソールの悩み方はまだまだ子供っぽく単純(女の子とセックスした翌朝のすがすがしく達成感漂う表情、ほんと腹立つわ・・・)。2人の気持ちの並走できない感が辛い。冒頭から破局への予感に満ちていてハラハラしっぱなしだった。2人とも、自分の心を持て余して自爆してしまいそうなのだ。

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