1886年、テキサス・レンジャーのデビッド(リアム・ヘムズワース)はメキシコとの国境を流れるリオ・グランデ川に数十体の死体が流れ着いているという事件の真相を調べる為、川の上流の町マウント・ハーモンへ、妻マリソル(アリシー・ブラガ)を伴い潜入する。その町は、「宣教師」と呼ばれるエイブラハム(ウッディ・ハレルソン)が支配していた。監督はキーラン・ダーシー=スミス。
 西部劇は西部劇でも派手さ、勇壮さとは縁遠く、渋く血なまぐさく泥臭い。デビッドとエイブラハムにはある因縁があるが、その闘いと決着は地を這うものであり、決して爽快なものではない。デビッドはレンジャーとしての仕事上の倫理や正義はもちろん持っているが、自分が「正義の味方」だという態度はとらない。彼はエイブラハムが悪人だと思っており、彼のやっていることは許せないとは思っているだろう。しかし、闘いの中で人を殺す自分もまた人殺しである。目的が何であれ、人殺しは人殺しとして生きるのだという突き放した視線がある。決闘にしろ復讐にしろ、爽快感も「正義が勝つ」的なカタルシスもないのは、そのせいだろう。終盤も、単純にタフな方が生き残るという展開の抑制のきかせ方も渋い。とはいえ、自分の心遣いに助けられるような展開もあるのは、ドラマ上のお約束というものか。
 エイブラハムと出会ってからのマリソルの変化は急激すぎるようにも見える。しかし、デビッドとマリソルの間には最初から溝がある。2人は仲の良い夫婦のように見えるが、マリソルのメキシコ人としてのアイデンティティや疎外感は、デビッドには(理解しようとはしているだろうけど)今一つ迫ってくるものがないのかもしれない。マリソルのトラブルは、おそらくそこに付け入れられたものだ。混乱する彼女が見た夢の話をしようとするのを、デビッドはさえぎって勝手に結論付けてしまう。あーそういうところがダメなんだよ・・・。愛し合っているようでいて、肝心なところですれちがってしまうところがもどかしかった。ラストも、マリソルが見た夢の内容を踏まえて見るとなんとも渋い。簡単に「めでたしめでたし」にはしてくれないのだ。

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