有栖川有栖著
 ミステリ小説には様々な人々が登場する。探偵やその助手、犯人や被害者だけではない。そんな「ミステリ国の人々」52人を紹介していくブックガイド。各章に添えられた挿画も、取り上げられた作品をなるほど!という形でモチーフ化しているものが多く楽しかった。
 登場人物に焦点を当てたブックガイドは多々あるが、その登場人物がメイン登場人物とは限らないという所がユニーク。もちろん探偵・悪漢・ヒーローも多く登場するが、えっその人モブじゃなかったけ・・・?という人も。目の付け所が上手い。その登場人物のチャーミングさ(ないしは不愉快さ)を紹介すると共に、登場する作品も紹介していく。更に、そもそもミステリとはどういうジャンルなのか、ミステリにおける仕掛け・文脈とは何か、どのような歴史背景があるのかまで関連付けて解説するという、ミステリというジャンルの解説本としての側面もある。まえがきで自認しているように、著者はこういうのが上手い(笑)。決して美文・流麗というわけではないが、解析・説明の的確さ(つまり著者自身が優れたミステリの読み手であり書き手である)がある。なお、個人的にはフィリップ・マーロウではなくリュウ・アーチャーを取り上げている所に拍手したい。