バージニア州の田舎町。ベテラン検視官のトミー(ブライアン・コックス)が息子のオースティン(エミール・ハーシュ)と経営している遺体安置所兼火葬場に、身元不明の女性の遺体“ジェーン・トゥ”(オルウェン・ケリー)が運び込まれてきた。一家3人が惨殺された家の地下室に裸で埋まっていたというのだ。トミーとオースティンは解剖を進めるが、次々と奇妙な点を発見する。監督はアンドレ・ウーブレダル。
 ほぼワンシチュエーションの設定で、いかに緩急つけて観客を引き込むか一生懸命考えたんだろうなぁという作品。低予算映画でありつつ安っぽくならない、下品にならない為にはどうすればいいか、という工夫が随所に見受けられた。その工夫が、本作のユニークな部分になっていると思う。コンパクトで面白い作品だった。
 解剖に伴い怪奇現象が起きるが、その怪奇現象をどう見せるか、何を見せないかという部分で、予算と怖さの調節をしている。具体的な「それ」が見えなくてもちゃんと怖いあたりは演出の上手さだろう。また、怖さの部分よりも、ジェーン・ドゥは何者なのか、彼女に何があったのかという謎解き部分に興味を引かれた。トミーとオースティン親子は解剖の知識だけではなく、色々と博学かつプロ気質で、特にトミーは彼女に何があったのか何とか解明しようとする。その背景に、ある事件が存在するという設定が上手い。その事件のせいで、トミーはジェーン・ドゥに対して過剰な責任感、使命感を抱いてしまうのだ。
 ただ、その熱意や誠意の顛末の在り方は、こちらとあちらは全く別のものである、コミュニケーションは不可能と感じさせるもの。この突き放し方が、実に「呪い」っぽいなと思った。こちら側の意思は知ったこっちゃない、という存在の仕方なのだ。