とある倉庫に集まった男女。クリス(キリアン・マーフィー)とフランク(マイケル・スマイリー)が率いるグループは秘密裡に銃を入手しようとしており、ジャスティン(ブリー・ラーソン)とオード(アーミー・ハマー)が仲介に立ち、密売人のヴァーノン(シャールト・コプリー)と取引しようとしていたのだ。しかし話はこじれにこじれ、ついに銃撃戦にもつれこむ。監督はベン・ウィートリー。
 監督が『ハイ・ライズ』の人だと気付いてびっくりした。全然方向性違うよ!でもクールな美に徹した一応文芸作品的な『ハイ・ライズ』よりも、本作の方が性に合っているんじゃないかなという気がする。少なくとも、撮っている側も出ている側も楽しそうだ。一種の密室ものであり、閉鎖空間でばんばん銃を撃ちまくる、当然デスゲーム的になるというアクション映画でありサスペンス映画なのだが、登場人物全員が妙に間が抜けており、かつ脚本がわりと精緻ではない、というか大雑把な為に、ユルいアホっぽさが醸し出されている。とにもかくにもバカとは商売を(同じチームとしても相手チームとしても)するなよ!という教訓に満ちている。お前がいなければもっと話は早かったんだよ!と登場人物の一部も観客も思うに違いない。
 空間内の構造と位置説明(各人の位置関係の見せ方の演出)があまり上手くないので、お互いが今どういうふうに移動しているのか、銃弾の軌道がどうなったのか等、いまひとつわかりにくい。電話の登場の仕方やそれに対する登場人物たちの反応も、一定距離を移動させるイベントを発生させる為なんだろうけど、あんまり必要じゃなかったんじゃないかな・・・という気がしなくもない。そもそも、さっさと出口目指せよ!って話だろうしなぁ・・・。シチュエーション的に、いわゆるコンゲーム的な内容かな?と思う人もいると思うが、その部分には全く期待はできない。むしろ、とにかく銃を撃ちまくる、しかもかっこ悪く!という、バカバカしいシチュエーションの為の作品だろう。どの登場人物も、絶対にかっこよくしないぞ!という意気込みが窺えるので、この点は良かった。
 設定、脚本は大雑把でいわゆる「上手い」映画ではないのだが、映画「ぽさ」の出し方はツボを心得ているように思った。画面の雰囲気に何となく昔の「午後のロードショー」的な良さがあり、特に音楽の嵌め方のセンスがいいので、それだけで何となく見てしまう。90分という短さもちょうどよかった。