利益の為なら手段を選ばない悪漢バーソロミュー・ボーグ(ピーター・サースガード)に支配されたローズ・クリークの町。夫をボーグに殺されたエマ・カレン(ヘイリー・ベネット)は賞金稼ぎのサム(デンゼル・ワシントン)に用心棒を依頼する。サムが集めた仲間は、ギャンブラーのジョシュ(クリス・プラット)、スナイパーのグッドナイト(イーサン・ホーク)、グッドナイトの相棒で暗殺者のビリー(イ・ビョンホン)、ハンターのジャック(ヴィンセント・ドノフリオ)、流れ者のメキシコ人ヴァスケス(マヌエル・ガルシア=ルルフォ)、アメリカ先住民族の戦士レッドハーベスト(マーティン・センズメアー)。7人のガンマンたちは町を守る為、多勢に無勢の闘いに挑む。監督はアントワーン・フークア。
 『七人の侍』『荒野の七人』のリメイクだが、黒人、更に東洋人やメキシコ人、フランス系カナダ人、ネイティブアメリカン等民族が入り混じっている所は現代的だし、今リメイクするならこうだろうな、という(歴史的考証は別として)納得感はある。サムがリーダーであったり、レッドハーベストを意外と皆フラットに受け入れている所など、あまりシビアな時代考証はしないからね、そういう作品だからね、という目配せのようでもある。また、グッドナイトはビリーに対して「白人のルールを教えてやった」と言うが、彼とのパートナーシップはフェアであるように見えるし親密そうでもある。サムが馬に乗って町に入った時に町民が一瞬固まったり、酒場の人達があからさまに嫌な顔をしたりというシーンもあるのだが(南北戦争の話も出てくるし)、ひどく迫害される描写はない。
 脚本はそんなに精緻ではない、というかとにかくキャラクターを揃えて後は銃撃、爆破、銃撃で転がしていく感じの大雑把さ。しかし主演の7人が出そろった様を見ると、もうこれでいいんだなという気分になってくる。特にデンゼル・ワシントンのデンゼル・ワシントン力がさく裂しているというか、「悪い奴絶対殺すマン」としての説得力がありすぎる。全然死にそうな感じがしないので最早卑怯なレベルだし、(弱者の側に立つ)正義のアイコン的である。彼にボーグを倒す個人的な理由がある所は『七人の侍』や『荒野の七人』と異なるが、デンゼル・ワシントンが演じたからこの理由が付随してきたようにも思う。「やった方は忘れてもやられた側は絶対忘れない、許されると思うな」というスタンスに説得力があるのだ。
 他の出演者でも、イ・ビョンホン演じるビリーのナイフを使ったアクションがやたらとかっこよかったり、相棒であるグッドナイトの弱弱しさと哀愁がイーサン・ホークのお家芸的だったり、ドノフリオ演じるジャックのちょっとクレイジーな強さだが女性に対しては紳士的(おそらくこの7人の中で最も紳士的)な所がチャーミングだったりと、キャラクターと俳優のはめ込み方がよかった。そしてとにかく全員セクシーである。いやーフークアいい趣味してるな!撮影楽しかっただろうな!ストーリーや全体の構成は正直大分ゆるいと思うが、出演者が魅力的なのと、抗争シーンにガンマンの対決というよりも戦争映画的な迫力があって、許せてしまう。
 何より、町を代表して戦いに挑むエマの佇まいがいい。『七人の侍』でも『荒野の七人』でも特定の女性が存在感を示すことはなかったので、これも今のリメイクならではの演出か。最後も、これは彼女の、彼女の町の闘いなのだと明確に示すものだったと思う。