大学に勤めるマギー(グレタ・ガーウィグ)は既婚の文化人類学者ジョン(イーサン・ホーク)と恋に落ちる。ジョンは妻ジョーゼット(ジュリアン・ムーア)と離婚し、マギーと再婚。ジョンとジョーゼットの子供達は双方で面倒を見ることになった。ジョンとの間に子供が生まれ幸せを満喫していたマギーだが、大学を辞めて小説家を目指すジョンと暮らすうち、将来に不安を抱くようになる。子供の世話を通じてジョーゼットと親しくなったマギーは、彼女がまだジョンを愛していると知り、夫と前妻に返すという計画を思いつく。監督はレベッカ・ミラー。
 マギーにしろジョンにしろジョーゼットにしろ、我儘と言えば我儘に見えるかもしれないが、迷走はするものの最終的には自分のやりたいようにやる、自分本位の人生を生きることにするという所がとても良かった。自分本位というとちょっと語弊があるかもしれないけど、自分の人生の主役は自分である、というところがしっかりしているので見ていて安心できるのだ。あまり常識とされていることとか世間体とかを気にしないところがいい。大事なのは自分がどう考えているかだ。
 マギーはジョーゼットに言わせると「邪気がない」。悪意や損得はあまり感じられない人なのだ。しかし同時に、独自の合理性に基づき行動しているように見えるので、ともすると利己的と思われそうでもある。自分にとっての最適解が他の人にも適応するとは限らないことをたまに忘れてしまう人という感じなので、だから周囲が怒ったり呆れられたりするんだろうけど、心底嫌われることはなさそうだ。何か、人間として魅力的な所があるし、本人はとても真面目なのだ。それはジョーゼットに関しても同様だ。ジョーゼットの方がよりわかりやすく我儘かもしれないが。
 一方、ジョンの自分の都合のいいように解釈する傾向と、人のせいにしがちな傾向にはイラっとする。ジョーゼットと暮らしていた頃は彼女や子供の世話が重石になっていたが、何でもよくできるマギーと暮らし始めると、甘えが一気に出てくる。そりゃあ別れたくもなるな・・・。甘ったれではあるが、実は世話をする立場になっている方が物事がうまく回るタイプの人なんだろうな。イーサン・ホークは私にとってイラっとするタイプの男性を演じることが多い(というか殆どそう)のだが、本作も同様だった。