エラリー・クイーン著、越前敏弥・北田恵里子訳
カナダでの休暇から車で帰る途中、エラリー親子はデービス山地で道に迷い、山火事に遭遇してしまう。なんとか脇道を辿り、山頂の屋敷にたどり着いた2人は助けを求める。使用人はいい顔をしなかったが、屋敷の主人である医学博士ゼイヴィアの好意で宿と食事にありついた2人だが、翌朝、書斎で博士の死体が発見された。死体の右手には半分に破られたトランプが。一方、山火事は収まる気配がなく、屋敷の人たちを追い詰めていく。
昔、旧訳で読んだ時にはダイイングメッセージの真偽を突き止めていくロジックがよくわからなかったんだけど、新訳で読んだらわかりやすくより面白かった。前に読んだとき何か変な話だなと思ったのは、ロジカルな部分を読み取りきれなかったからなんだな。改めて読むと、手がかり、ダイイングメッセージが孕んでしまうある問題に挑戦し始めた作品だったということがわかる。山火事の絡ませ方も、緊迫感を高めることに加え、時間的なリミットを設定してこの問題に強制的にけりをつける為だったのかとも。なお、クイーン親子はどの作品でも結構仲良いが、本作では特にいちゃいちゃ感というか、ぶーぶー文句いいつつもお互い好きなんだなーという感じが出ている。エラリーがお父さんはしょうがないなぁ!的に振舞いつつもやっぱりパパ大好きな感じ、微笑ましいです。こういう父息子関係(子供成人済み)ってアメリカの小説ではあんまり見ない気がするんだけど・・・。私が陰惨なものばかり読んでいるからでしょうか・・・。