救急病棟に、頭に銃弾を受けた強盗犯チョン(ロー・ホイパン)が搬送されてきた。警察との銃撃戦で負傷したのだ。チョンから仲間の情報を得たいチャン警部(ルイス・クー)らは殺気立つが、チョンは口を割らない。加えて、至急の手術を勧める医師トン(ビッキー・チャオ)に対しても説得に応じず、手術を拒んでいた。監督はジョニー・トー。
 次々と事件が起き、目まぐるしくスピード感がある。スリリングで引き込まれるが、着地点がずっと見えない不思議な作品だった。医療群像劇サスペンスとクライムサスペンスを無理矢理合体させたみたいだ。また、やたらとエピソード量がありもたれそう。トンが担当する神経外科の患者たち個々のエピソードも語られるのだが、それがやたらと濃い。トンの当初の所見が外れて下半身の自由が奪われたと絶望する青年や、難手術に挑む中年夫婦、認知症らしきにぎやかな老人。1組ずつでも1本の映画になりそうな悲喜こもごもなのだが、それをぎゅうぎゅう詰めにしてくる。チョンと警察のかけひきの伏線となる部分もあるのだが、おおよそはそれほど関係ない。また、トンは外科医なので手術シーンが頻繁に出てくるが、セットも内臓も結構ちゃんと作って撮影している。でも、ストーリー上これもあんまり必要ないんだよね・・・。少なくとも、内臓を出す必要はない。やれることは全部やろうみたいな変な意気込みを感じた。
 登場人物が全員ぴりぴりしており、ややヒステリック。手術を失敗しかけ、自分の技量への自信を失っているトンは情緒不安定だし、チョンに翻弄され汚職まがいの行為に手を出してしまうチャンも、強盗団への対応に右往左往する警官たちも、神経を削られていく。その中心にいるのはチョンだが、彼もまた頭に銃弾が埋まったままで、命のタイムリミットは迫っている。どんどん追い詰められていく緊張感でストーリーを引っ張るが、その緊張感の果ての、謎のクライマックス。いや起きていることは謎じゃないんだけど、見せ方がこうくるの?!というもので、見応えはあるんだけど笑ってしまった。音楽含め、過剰なエレガントさがいきなり投入されるのだ。いきなり奇跡みたいなことが起こってしまうのも、まあありかな!という気分になってくる。