エラリー・クイーン著、越前俊弥・佐藤桂訳
田舎町アロヨで、首なしで貼り付けにされた死体がT字路で発見されるという事件が起きた。“T”だらけの事件に興味を持ったエラリーは捜査を開始するが、めぼしい情報は得られなかった。そして半年後、再び”T”だらけの事件が起きる。クイーンの国名シリーズ5作目。
過去に一度読んだことがある作品なのだが、今回新訳で読んで、私は真犯人を別の人と勘違いしていたことに気づきましたね・・・!人間の記憶ってほんといいかげんだなー。そして記憶に残っている以上にやたらと長距離移動する話だった。エラリーが事件をあちこちを訪れる様は、かなりドタバタ劇っぽくて落ち着きがない。ここまで引っ張る必要あるのか?って気もするが、ひっぱりまわした上での、トリックを見破るきっかけが非常にシンプルだという所が、本格ミステリとしての醍醐味だろう。この部分は本当にすっきりしていて、あーっ!て思うんだよなー。ここまで絞り込めるものかと。この一点でそれまでのぐだぐだも納得させる力がある。ただそこに至るまでの引っ張り具合がな・・・。小説としてはアンバランスなんだけど、本格ミステリとしては確かに高評価になると思う。