「未体験ゾーンの映画たち2017」にて鑑賞。違法公道レースをしたことで逮捕され、2年間服役していたロイ(アンドレス・バースモ・クリスティアンセン)はようやく出所し、妊娠中の恋人シルビアと前妻と娘であるニーナの為にもレースの世界から足を洗おうと決意する。しかし彼をライバル視するレーサーのカイザーが挑戦を挑んでくる。更にニーナの恋人チャーリーがレースに参加すると言いだし、ニーナも同乗すると言う。前妻からニーナを連れ戻せと言われたロイは、愛車のマスタングでカイザーらを追う。監督はハロルド・ブレイン。
 ノルウェー発のカーアクション映画『キャノンレース』の続編。前作での展開及びラストからそのまま続いているので、キャラクターの説明等が一切ないという潔さ。ノルウェーでは説明いらないくらいヒットしたってことだよな・・・。アバンで前作のダイジョエストは漠然とわかるので、単品でも大丈夫なことは大丈夫だと思うが。そもそもそんなに入り組んだ話ではないし、何なら前作より更に能天気になっていると思う。
 今回はノルウェーからスウェーデン、フィンランド経由でゴール地点がロシアというコースなのだが、季節は冬。しかも当然豪雪地帯。雪上でレースをし派手なカーアクションをかましているので、前作よりもカースタントの難易度は上がっているように思う。極端に寒い地域でないと出来ないようなネタもあり、えっそれ大丈夫なの?!CGじゃないよね?!と思わず二度見してしまいそうになる所も。カーアクションて色々あるけど、これは初めて見たわ・・・。登場する車の台数は減ったが、いい意味で泥臭く大変楽しかった。自動車が、ちゃんと自動車として走りアクションしているのがいい。『ワイルドスピード』シリーズみたいなのももちろん楽しいのだが、あれはカーアクションというよりも車を使った格闘技みたいな感じだからな・・・。
 本作、前作に引き続き父親と娘の物語でもあるが、父親であるロイが随分甘やかされるようになっちゃったなーという感は否めない。前作では疎遠だった娘との絆をレースで取り戻したが、本作では既に(恋人はいるが)ニーナはロイのことを大好きだし、父親としても夫としてもあまり役に立たないロイのかっこいい所をわかってくれている。ある意味夢の娘像だよなと。ロイはいわゆる「大人」として振舞えない人なので、娘との共犯関係みたいなものが余計に嬉しいのかも。前妻は良くも悪くも大人になってしまったんだよな。
 なお、一番驚いたのはノルウェーの刑務所の住環境が結構良さそうな所。そんなに重罪じゃなかったからだろうけど。刑務所内での仕事が裁縫というのも何かいい。