難攻不落と言われる、ヒマラヤ・メルー峰シャークスフィンの登頂に挑む、登山家たちの奮闘を追うドキュメンタリー。2008年10月、コンラッド・アンカー、ジミー・チン、レオン・オズタークの3人はメルー峰に挑むが、7日間のツアーの予定が倍以上も要する苦闘となった。監督は登頂に参加した当事者の登山家であり、山岳カメラマンでもあるジミー・チンと、エリザベス・C・バサヒリィ。
 元々映画化が前提だったのだろうが、登山中の映像が豊富で、登山素人の目から見ると色々と新鮮で面白かった。所要日数と持ち運べる荷物量の兼ね合い等、当然と言えば当然なのだが言われないと気付かなかった。また、場所によっては夜間に登るというのは、氷がより固くて剥落しにくい状態を選んでいるからだそうだ。昼間の方が見通し良くて安全な気がしてたけど、なるほど。一番驚いたのは、序盤でも映し出されるのだがテントの設置場所。設置というか、これは吊り下げている感じなのでは・・・。最近の登山用具はすごいなー。当然のことだけど、登山も進化するんだな。自分の知らない世界を垣間見る面白さがあった。
 登山のプロジェクト自体はもちろんドラマチックなのだが、登山家3人の背景、プロジェクトの過程で個々を襲うトラブルがこれまたドラマチックすぎる。特にチンとオズタークを襲うトラブルは、事実は小説より奇なりとはいうけれど、まさか連続してこんな羽目にあうなんてと唖然とした。当事者にとっては登山に対するモチベーションがぐらつくような事態だったろう。生死にかかわるトラブルを経てなお登頂に挑もうという姿勢には凄みを感じるが、そこまでして登りたいのか?という疑問も当然沸いてくる。登山家それぞれのパートナーたちは登山自体には理解があるが、大きなリスクを抱えた登山にはやはり反対する。そりゃあそうだよな・・・。それでも彼らが山に登るのは、「そこに山があるから」としか言いようがないのだろうというのも、本作を見ていて思った。
 なお、風景は当然素晴らしい。空撮も多用されており、結構な予算を組んだプロジェクトだったことが窺える。とは言え、雪山の恐ろしさもありありと見られる映画でもある。よく無事だったな・・・。