実業家のリウ(ダン・チャオ)は香港郊外の自然保護区域を買収し、イルカや魚を追い払って海を埋め立て、リゾート開発を狙っていた。この計画を阻止しようと、人魚族はリウの暗殺を計画する。若い女性人魚シャンシャン(リン・ユン)を人間に変装させリウの元に送り込むが、リウとシャンシャンは恋に落ちてしまう。監督・脚本はチャウ・シンチー。
 アクション映画以外のチャウ・シンチー監督作って、どうもキワモノ感が拭えないのだが、これは私の先入観かなー。満席立ち見も出るほどの客入りだったけど、そこまで面白い作品とは思えなかった。どうも監督のギャグセンスと相性が悪い。冒頭の観光客の面子がいかにもマヌケ、不細工といった面々でマヌケ、不細工だったらこういう振る舞いだろうというテンプレな振る舞いをするあたりからして苦手意識を感じてしまった。不細工ギャグとか、嘔吐ギャグを必ず入れるところとかもきつい。あとCGの出来が悪いというのではなく、色と質感がギラギラ寄りなのは多分好みなんだろうけど、これもきつい。ギャグが上滑りしている感じなんだけど・・・。
 ただ、なかなかぐっとくる所もある。貧しい出身から這い上がり、無理して「セレブ」をやっていたリウが、屋台の焼き鳥の味に涙ぐんでしまうエピソードは、王道人情ものっぽく、またリウが結構無理してきたんだなという背景が窺えるものだった。焼き鳥がきっかけでシャンシャンとの距離がぐっと縮まる、更に不思議なミュージカルシーンにも発展するというのも楽しい。
 ところで、シャンシャンの兄貴分はタコの人魚なのだが、タコの移動能力がチートというのは、『ファインディング・ドリー』と同じだった。やっぱり使い勝手がいいんだろうな。『ファインディング~』に出てくるタコの方が大分かっこよかったですが・・・。