脚本家のリック(クリチャン・ベイル)はセレブとしてあちらこちらのパーティーに招かれ、享楽的な日々を送っていた。美しい女性達との記憶を辿る一方で、父親、弟との記憶もまとわりつく。監督はテレンス・マリック。
 例によってエマニュエル・ルベツキの美麗な撮影なのだが、ルベツキ節が強すぎてここ数作は何見ても似通った印象という部分は否めない。マリックは『ツリー・オブ・ライフ』以降、その変奏曲ばかりを撮っている気がする。本作もやはり、『ツリー~』と根っこは同じだ。女性達との関係がクローズアップされているようでいて、実の所リックの葛藤の大元は、家父長的な父親との関係、そして弟たちに対する罪悪感にある。男性間での関係の方が根の深い問題であって、対女性との問題は、むしろ根本的な問題からの逃避によって生じたもののように見える。また女性たちとの関係は一過性のもので、リックの中では甘美な思い出として処理されている部分も多々あるのではないか(スメタナの楽曲が何度か繰り返されるが、これが流れるシーンはセンチメンタルな思い出らしい)。
 『ツリー~』も父親との関係上の葛藤が延々と描かれていたが、本作もそれと同じ流れにある。加えて、本作ではリックの弟への言及がある。彼には複数の兄弟がいたらしいが、現存しているのは彼と弟のみ。弟は社会的には成功しているリックと異なり、どうやらその日暮らしらしい(享楽的っぽい所はリックと似ていて妙におかしいのだが)。また自殺したらしい弟がいたこともわかってくる。自殺の原因は父親との関係にあったらしく、リックは弟を残して家を出たことを悔やんでいるようだ。とは言え、死んだ弟とはもう対話は出来ず後悔は宙に浮いたまま。父親との対話も出来るんだか出来ないんだかという感じで、リックの葛藤は延々と続きそうでもある。
 近年のマリック監督作を見ていると、社会的に「大人の男」をやっていくことがどうにもこうにもしんどい、という叫びが共通して響いているように思う。そろそろ別のネタを・・・と思わないでもないのだが、監督にとってそれだけ根が深い問題ってことだろうか。