A.A.ミルン著、武藤崇恵訳
かつて暮らしていた屋敷をふと訪れたジェーンは、叔母の死体を発見し、同様して“凶器”の位置を変え指紋をふき取り、更に窓から脱出して地面に足跡を残してしまう。容疑者扱いを恐れ、友人ナンシーの手を借りて田舎に身を隠したが、警察の捜査は彼女が思いもよらなかった方向に進んでいた。
ミルンと言えば『くまのプーさん』を書いた児童文学作家として有名だが、一方でミステリ小説『赤い館の秘密』も有名。本作もミステリ小説・・・なのだが、冒頭からちょっと調子がおかしい。ミルンのユーモアが存分に発揮されており、とても楽しく読んだ。ジェーンを筆頭に登場人物全員にやや妄想癖と思い込みの強さがあり、それが事件をどんどんややこしくしていく。むしろ本格ミステリのパロディみたいだし、実際、ジェーンもナンシーもミステリ小説好き(子供時代に2人で使った「暗号」も披露される)。絵にかいたような「頭の悪い警官」も登場するが、名探偵は登場せずに事態がどんどんややこしくなる。各人が余計なことをしなければ真相は明白だったかもしれないのに(笑)。