舘野仁美著、平林享子構成
スタジオジブリのアニメーターとして、動画チェックとして27年間のキャリアを積んだ著者が語る、アニメーターという仕事、ジブリというスタジオの姿。スタジオジブリの広報誌『熱風』に連載された回顧録を書籍としてまとめたもの。巻末に構成者あとがきがついているのだが、それによると著者の言葉は当初はもっと鋭く率直だったそうだ。登場する人たちの殆どは現役なので、さすがに諸々配慮して柔らかい言い方に修正したらしい。とは言え、配慮が窺える言い回しではあるが、個人、組織に対する言葉はやはり鋭い。明瞭な否定の言葉はないものの、著者の中ではここはひっかかっていることなんだろうなとか、このあたりは問題だと思っているんだろうな、という意識が透けて見えるところが面白かった。動画チェックというポジションの板挟み感や細かな気の回し方等、これは本当にきつかったろうなと思う(基本的に「ダメ出し」する仕事なので社内でも煙たがられるし動画と仲良くなりすぎるとダメ出ししにくくなる)。著者は宮崎駿の側で長年働いてきたわけだが、アニメーターとしての姿とはまた違う、経営者としての宮崎、上司としての宮崎の姿が描かれている。昔気質の騎士精神みたいなものを持っているという指摘にはなるほどなと。そして高畑勲はやはり怖い人なのだった・・・。上の人たちが特定局面で超有能かつ癖のあるタイプだと部下は大変だよなー。勉強にはなるだろうけど、自分が食われないようにする距離感の取り方が難しい。