ネレ・ノイハウス著、酒寄進一訳
動物園で人間の左腕と左足、そして左腕と左足が切り落とされた死体が発見された。死体は高校教師で環境保護活動家のパウリーと判明。刑事オリヴァーとピアは捜査を開始するが、パウリーは過激な活動により様々な人の恨みを買っていた。
オリヴァー&ピアシリーズの2作目だが、日本では最後に翻訳されることになった。確かに、シリーズの他作品と比べるとちょっとパンチが弱めでミステリとしても粗い(というか他作品の精度が高いってことなんですが)。腕足の切断がある登場人物をシリーズに引き入れる為だけに使われているような気もする。とは言え、この後の作品にも登場する人物や、オリヴァーやピアの生活背景がはっきりわかる部分を含む作品なので、シリーズのファンなら必読だろう。今回、オリヴァーはしばしば私情に目がくらんであまりかっこよくなく、ピアもプライベートの問題で心が揺れている。仕事は出来るが万能ではないし常にクールなわけではないという、人間味のある部分がいい。同僚たちとの仲が良すぎない感じも、職場の実感が出ている。