突然、末期がんによる余命宣告をされた双葉(宮沢りえ)。残された時間でやり残したことをやりきろうと、1年前に家出した夫・一浩(オダギリジョー)を連れ戻して稼業の銭湯を再会し、学校でいじめに遭っている娘・安澄(杉咲花)を嫌がらせに立ち向かわせる。更に、双葉には今まで家族にも言えずにいた思いがあった。監督・脚本は中野量太。
双葉の愛は大きく深い。しかし、彼女が周囲の人々に与えるものは、自身が与えられなかったものの反動、代償行為なのかもしれないと気づかされる瞬間があり、はっとする。本作、様々な所ではっとさせる、軽く予想を裏切る展開を見せる。難病で余命わずかという設定をはじめ、パーツのひとつひとつはベタもいいところなのだが、組み立て方によってユニークな作品になっている。ミスリードを誘うパーツを要所要所に置いており、特に後半の展開は、設定はベタなのに表出の仕方がベタではないというか、不思議な味わいもあった。ただ、ベタをやりつつベタ回避するというアクロバットのせいか、所々展開が強引に思われる所もあった。
特に、安澄に対する態度は、かなり問題があると思う。学校に行かせたいのは分かるが、弱っている時にああいうことを言われると本気で死にたくなる。「おかあちゃんの子だから(弱くない)」と言われても、やっぱり親子は別の人間なので母親のようにはなれないとは思わないか。説得できる言葉になっていない。また、その後更に大きな展開があるが、これもいきなり言われても!って感じで唐突過ぎると思った。もうちょっと助走が必要だろう。娘に対する愛と思いやりを十分に持つ双葉がいきなりこういう振る舞いをする、というのは不自然ではないか。双葉にとっては残り時間が限られており、自分が動ける間に何とかしないとという焦りから、強引になってしまうという理解は出来る。が、見ていてどうしても不愉快になってしまう部分があり困った。展開の意外性・キャッチーさを狙いすぎて、登場人物の心情・行動が他の部分と比べて不自然ではないかという部分がおざなりになっている気がする。
最後のオチは、ジョークと言えばジョークなのだが、個人的には臭いがすごいんじゃないかと気になってしまって、あまり感動の方には気持ちが向かなかったな・・・。面白い作品ではあるんだが。