不動産業者のディーノ(ファブリツィオ・ベンティボリオ)は、娘セレーナ(マティルデ・ジョリ)の恋人マッシミリアーノ(フリエルモ・ピネッリ)の父親で有名な投資家のジョバンニ・ベルナスキ(ファブリツイォ・ジフーニ)に近づき、彼のファンドへ投資させてほしいと頼み込む。ベルナスキ夫人のカルラ(ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ)は空疎な毎日を送っていたが、古くからある町の唯一の劇場が取り壊されそうだと知り、劇場再建の為の出資を夫に頼み、地元の劇作家や評論家らによる運営委員会を立ち上げる。セレーナは継母でカウンセラーのロベルタの職場で、ルカ(ジョヴァンニ・アンザルド)と知り合う。そしてクリスマスイヴ前夜、1人の男性がひき逃げにあう事件が起きた。監督・脚本はパオロ・ヴィルズィ。
 エンドロール前の字幕による解説が、題名の「値打ち」ってそのものずばりで、このことかーとげんなりさせる。やっぱり金か!ただ、お金で量られることそのものというよりも、その計量が、その人がどういう人なのかどういう人生なのかということとは関係なく、全くの第三者に表層的な部分でシステマティックに決められてしまうということが辛い。お金で量るというのは、そういうこと(あからさまにわかりやすくすること)なのだろうけど。
 ディーノの貪欲さ、「上流社会」への憧れみたいなものが実にいやらしいのだが、ちょっと不思議でもあった。自宅の様子や、セレーナを富裕層の子女が通っているらしい私立校に入れていることからすると、彼はそこそこいい暮らしをしていると言えるだろう。詐欺まがいの嘘までついて無理な借金をし投資するというのは、リスクが高すぎて現実的とは思えないが、そこまでしてお金がほしい、あるいはベルナスキが象徴するような富裕層の世界に入ってみたかったのか。自分ではベルナスキの仲間になったつもりでも、周囲はそうは見ないと思うが。いずれにせよ、いやちょっと現実見て!他にやることあるだろ!と突っ込みたくなる。
 ディーノと比べるとベルナスキがやたらとちゃんとした人に見えてしまうし、ちゃんとした人ではあるのだろう。しかし、妻や息子をアクセサリー扱いしていることが分かってくる。利己的という点ではディーノと同じなのかもしれない。また、夫にアクセサリー扱いされる日々に空疎さを抱えているカルラも、その空疎さを埋める為、手近にあった物・人を利用しただけに見えてくるのだ。人間の身勝手さ、貪欲さが前面に押し出されているので、ぱきっとして湿度は低い作風ながらも、ちょっとげんなりとする。
 唯一、誰かを守る為に動く(それも自分本位なやり方と言えなくはないものの)セレーナだけが、危なっかしくも頼もしかった。彼女に比べると、マッシミリアーノもルカも頭悪いわメンタル弱いわで、年齢相応とはわかっていても若干イライラした。セレーナの八方塞感を察知できる人がいないのだ。唯一、彼女の異変に気付き気遣えるのが、彼女とは血縁がなく、親子の内情も知らないはずのロベルタだというところが面白い。カウンセラーという職業柄もあるのかもしれないが、家庭内ではともすると大雑把に見えた彼女の側面が垣間見える。