死者の記憶を映像化し、それを手がかりとして犯罪捜査を行う科学警察研究所法医第九研究室、通称「第九」に新任した捜査官・青木一行(岡田将生)は、室長・薪剛(生田斗真)の指示により、妻子を惨殺し死刑になった露口(椎名桔平)の記憶を映像化した。そこには、事件以来行方不明で、既に殺されていると思われていた露口の長女・絹子(織田梨沙)が家族を刺殺する姿があった。原作は清水玲子の同名漫画。監督は大友啓史。
 作りこんだセットに、おそらく本作の為に仕立てられた衣装のスーツ等、ビジュアルには気合が入っている。が、この気合が全て空回りしているように思った。すごく悪くはない、しかし特に良くもないというものすごく微妙かつコメントしにくいところに落ち着いてしまったな・・・。第九のラボはサイバーパンクっぽい雰囲気を意図したのだと思うが、いかにも「SFでござい」的なセットが逆にSF感を削いでいるように思った。原作がそうなのかもしれないけど、大写しの複数モニターってもうやめませんか・・・。更に言うならアジアのスラム的なセットももうやめませんか・・・。いいかげんださいと思う。また、衣装のデザイン自体はいいが、人によっては体格にあっていないような印象を受けた。既成のスーツじゃだめだったの?一応警察ものだから、そのへんの個性はあまり出さない方がそれっぽいと思うのだが。使用車両がやたらお高そうなのもの興を削ぐ。
 おそらく原作の複数エピソードを組み合わせて構成しているのだろうが、上手く融合していないと思う。絹子事件と貝沼(吉川晃司)事件の関連付けが急すぎて、苦し紛れの力技に見えてしまった。絹子と貝沼、どちらもキャラが立っているので、双方うるさすぎてキャラの強さが相殺されていまった気もする。どちらか1エピソードでも映画としては成立しそうだったけど。
 また、映画のオリジナルキャラクターだそうだが、刑事の眞鍋(大森南朋)の行動が支離滅裂すぎる。いくら悪徳刑事とはいえ頭悪すぎるだろう・・・。大森の演技もいつになく雑で、出てくる度にげんなりした。一体なにをやりたかったんだ・・・。
 何より、視覚情報の映像化という設定が徹底されていないことが気になった。これ、ミステリとしてのキモとなる設定なのでゆらいでしまうとストーリーの基盤に支障が出ると思うのだが。