コロンビア大学に勤める素粒子学者のエリン(クリスティン・ウィグ)は、大学との雇用契約が成立するのを心待ちにしていたが、かつて友人のアビー(メリッサ・マアカーシー)と共著で出版した心霊現象研究書が、大学研究者には不適切だと雇用を打ち切られてしまう。エリンは過去を隠していたが、アビーが勝手に本を再版していたのだ。怒ったエリンはアビーの元に乗り込むが、なりゆきで幽霊を目撃。アビーとその研究仲間のホルツマン、地下鉄職員のパティ(レスリー・ジョーンズ)とで、幽霊退治専門会社「ゴーストバスターズ」を結成する。監督はポール・フェイグ。
 ある世代より上だったら知らない人はいないであろう、1980年代の大ヒット作品『ゴースト・バスターズ』のリメイク。元作品はバスターズは男性たちだったが、本作のバスターズは全員女性。とは言え、過剰に男性だから・女性だからという描き方ではなく、まず第一に「この人はこういう人」という造形になっていると思う。個々のキャラクターとその言動に無理がない感じがした。キャラクターのビジュアルの作り方も、かっこよすぎず悪すぎず、かつ個性は際立たせるというさじ加減がいい。特に衣装の選び方は抜群だと思う。オシャレな服装というのではなく、この人だったらこういう方向性のダサさが出そう、この人はこういう色合いを好みそうといった、あくまで「この人ならどうなるか」という所に注力している。アビーのツイードっぽいスーツはダサ可愛いし(きちんと目の恰好でも部屋着っぽい恰好でも同じ度合いでダサいという調整度が素晴らしい)、アビーは実用性重視のカジュアル、ホルツマンはレトロかつマニッシュ、パティは光物大目でカラフルで、どれもその人に似あっている。
 エリンとアビーは幼馴染ということを前提にしても、バスターズはそこそこ仲良さそうだし、だからこそのクライマックスの盛り上がりだろう。ただ、仲がいいとは言ってもそれほどベタベタしていないし、お互いにプライベートの詮索はあまりしない(少なくとも作中ではあまりそういうやりとりは描かれない)ところがいい。フェイグ監督の作品で私が見たのは『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』(2011)のみなのだが、この作品では(結婚式という背景のせいもあるんだろうけど)仲が良いにしろ悪いにしろ女性同士の関係、コミュニケーションの見せ方が露悪的すぎて辟易とした。本作では、バスターズの間に仕事、そして好きなことを研究している(パティは違うけど)という共通の目的があるので、そのあたりが緩和されているのかもしれない。なんにせよ、好きなことを思いっきりやっている人を眺めるのは気分がいい。
 なお、バスターズに雇われる、イケメンナイスバディだが全く無能な「秘書」をクリス・ヘムズワースが演じている。正直、本編では精彩を欠いている(表情と動きに乏しいからかな・・・)ように思ったが、エンドロールでは大活躍するしキュートなので、最後までご覧ください。それにしても、どんなにルックスがセクシーで美形でも、あまりに頭悪いと人はどん引きするものなのね・・・。メンクイらしいアビーのみ楽しんでいるが、多分彼と付き合おうとかは思っていないのだろう。