1970年代、ロンドン北部の町エンフィールド。4人の子供とシングルマザーから成るホジソン家では、正体不明の音や、家具がひとりでに動いて襲ってくる等の奇妙な現象が起きていた。特に二女のジャネットは何者かの気配を感じて強く怯えていた。霊能力者のロレイン・ウォーレン(ベラ・ファーミガ)とエド・ウォーレン(パトリック・ウィルソン、)夫妻は彼らの家に向かうが、不可解な現象の原因はわからないままだった。監督はジェームズ・ワン。なおシリーズ2作目だが、前作を見ていなくても大丈夫。
 アメリカを中心に活動した実在の心霊研究家・ウォーレン夫妻を主人公とした、実話を元にしたホラー映画。エンフィールド事件は史上最長のポルターガイスト現象と言われているそうだ。ポルターガイストって欧米圏に特有の心霊現象なんだろうか。ジャネットが幽霊の存在を訴えても当然のことながらなかなか信じてもらえず、誰にも信じてもらえない、あるいは自分が本当におかしいのではないかという恐怖でひっぱるのかと思ったら、結構あっさり複数人の前でポルターガイストが起きる。えっもういいの?!と若干拍子抜けした。幽霊にしろ悪魔にしろ自己主張が結構激しい。いや自己主張激しいからわざわざ死後に幽霊になるのか・・・。
 私はホラー映画はどちらかというと苦手(びっくりさせられるから)であまり見ないのだが、本作は「真犯人」はどいつなのか、目くらましのトリックは何だったのか、というミステリ的なアプローチもあるので面白く見ることができた。何より、ロレインとエドのパートナーシップの在り方が好ましい。霊能力者としての能力があるのはロレインで、エドはそのサポートや調査をするのだが、彼女の能力を信じ続けるエドがいてこそ、十分に発揮できるのだ。霊能力というわからない人にはわからないものを信じるというのは難しいし、現にジャネットは信じてもらえないことで苦しんでいる。霊能力の素養はあるにせよ、ロレインの能力を「才能」として信じ続けるエドがいてこそ、彼女は霊にも、自分を疑う世間にも立ち向かえるのだ。ロレインがジャネットにかける言葉は、かつてのロレイン自身にかける言葉のようでもあり、思いやりにあふれている。
 また、大活躍するというわけではないのだが、ホジソン一家の向かいに住む夫婦の行動には、こういうのが隣人愛というのかなと思った。あの状況で一家を信じ続けるというのは結構すごいと思う。夫婦や家族、友人の間での愛と信頼がひとつのモチーフになっているので、結構怖いホラー作品ではあるのだが、エモーショナルでぐっとくるところがある。ただ、最後に字幕で説明された「その後」には、そういう意図はないのかもしれないけど結構ぞっとしましたね・・・。