コリン・ウィルソン著、中村保男訳
 新潮文庫"村上・柴田翻訳堂”シリーズより。地球の宇宙船ヘルメス号により、難破した巨大な宇宙船が発見され、中に置いてあった美女の遺体が地球に持ち帰られた。しかしその生命体は、他の生命体のエネルギーを吸収する宇宙ヴァンパイアとでも言うべき存在だった。ヘルメス号の船長カールセンは、生命体が人間の体に憑りつき、さらにその体を乗り換えていると気づく。  コリン・ウィルソンといえば『アウトサイダー』くらいしか知らなかったが、こういう作品も書いていたのか。ただ本作、既出の"村上・柴田翻訳堂”シリーズの中では一番読むのがきつかった・・・。SFとしてはかなり古さを感じる。また、古さをカバーできるほど小説として上手くない(笑。しかし巻末に収録された村上春樹と柴田元幸の対談でも、上手い小説ではないって言われてたもんなぁ)。話の流れがとっちらかっている印象があるのと、宇宙ヴァインパイアの存在の仕方や行動原理が今一つ統一されていない、後から一気に解説される内容とちぐはぐになっているように思った。著者の興味は、そういう部分にはないんだろうな。多分、男女間でのエネルギーのやりとりとかそっちの方に力が入っているんだろうけど、そのへんも今となっては時代遅れっぽいのが辛い。カールソンたちが生命体への対策を考え出すあたりまで、相当努力して読み進めないとならなかった。本作のような形での人類に対する高次元の存在って、最近のSFではあまり見なくなった気がする(最近は高低というより存在の在り方を相対的に見せるものが多いのかなと)。