カーソン・マッカラーズ著、村上春樹訳
12歳の少女フランキーは、南部の田舎町で父親と女料理人ベレニスと暮らしている。遊び相手はもっぱら従兄のジョン・ヘンリー。日常にうんざりし、兄の結婚式で自分も人生が変わるのではと心待ちにしていた。マッカラーズの作品は題名を知っていた程度で、読むのは初めて。素晴らしい!こういう小説がなかなか手に入らない状態だったんなんて・・・。フランキーはどのグループの「メンバー」としてもはまれずにいる。その一方で、自分が他の人々と何でも通じあっているような気分にもなる。気分のアップダウンが激しく、感情も行動もちぐはぐだ。何に驚いた、かつがっくりきたかというと、フランキーの感じている息苦しさや、自分や世界へのしっくりこなさ、ある時世界がとてつもなく遠く隔たれたものに感じられること等は、フランキーと同じ12歳だった頃の私が感じたものでもあるし、今だに感じていることだという所だ。それが本作の素晴らしいところなのだが。訳者解説でも触れられているが、これはフランキーの成長における一幕というのではなく、明日もずっと続いていくことなのだ。フランキーは作中における彼女の呼称が変わるように(フランキー→F.ジャスミン→フランセスというように)変化し続けるだろう。しかし、彼女はあくまで彼女。自分以外にはなれないのだ。