プリズムショー界のスターグループ“Over The Rainbow”のスタージに魅了された少年・一条シン(寺島惇太)は、彼らを追ってプリズムショー界に飛び込む。しかしOver The Rainbowのメンバー、神浜コウジ(柿原徹也)、速水ヒロ(前野智昭)、仁科カヅキ(増田俊樹)はアイドルとしての岐路に立っていた。タカラトミーアツとシンソフィアによるアーケードゲームを原作としたアイドルアニメ『プリティーリズム』シリーズの第3期、『プリティーリズム・レインボーライブ』からのスピンアウト作品。本家プリリズは女子アイドルたちが活躍するが、本作は男子アイドルたちが活躍する。監督は菱田正和。
 プリリズについてはそういうタイトルがあることを知っているくらいで、本作についても特に興味はなかったのだが、ある時点からtwitterのタイムラインに本作の感想、しかも大分狂ったテンションで何を言わんとするかわかりにくい、しかし熱量だけは目茶目茶ある感想が流れてきた。更に業界関係者の感想が熱い!これは何か見ておかないといかん気がする!というわけで事前情報ほぼない(相当クレイジーな物件だろうなーという予測はしつつ)状態で見に行った。
 で、実物を見てみたわけだが、これは確かに熱い・・・が何て表現したらいいかわからなくもなるよな!キツいアッパー系のドラッグきめた感じのツイートばっかり出てきちゃうのも最後に涅槃に飛んだみたいな感想ばっかり出てくるのもわかる!そういう風にしか表現できないわ!そもそも映画なのか?という疑問もある(途中アイキャッチが入るし予告編(多分続編製作は決定していないと思うが)がついていることからも、テレビシリーズに準ずる連続ものの体で作っていると思われる)ので、一種のイベントみたいなものと見た方がいいのかもしれない。実際「シプリズムショー」としてステージを見せるシーンが大部分を占める。
 ただ、そのショーの見せ方が、本当にどうかしている。ここまで振り切ることができるのはすごい。サービス精神が間違いなく旺盛なのにも関わらず、ついてこれない奴は振り落とすぞ!という演出方法。「見て下さい」としか言いようがないのだが、Over The Rainbowのステージでのサイクリング(何を言っているのかわからないと思うが本当なんだ・・・)の時点で、ついていけるか不安になったもんね・・・。そこをぐっとこらえて波に乗ってしまうと、妙に楽しくなってくるところが恐ろしい。明後日の方向に突き抜けているが、エンターテイメントであろうとする気迫が半端じゃない。アイドルはファンを笑顔にする仕事だという作中のテーゼと、本作製作側の姿勢が正に一致している。
 短い時間の中に大量の要素が詰め込まれている。原作はゲームなのでもちろんアイドル育成ゲーム要素があり、リズムゲーム的であり、乙女ゲーム的であり、更にバトルもの(必殺技出るし悪の組織いるしな)であり、スポ根。この盛りの良さはアニメを見慣れている人でもちょっと異様な印象を受けるのでは。アニメ、特に玩具タイアップ系のアニメを見慣れていない人には、文脈がわからないのではないかなとも思った。そういう意味ではえらくハイコンテキストなんだけど、これを読み解く観客が多数いて上映期間が3か月突入、興行収入2億5000万越え(2016.3.9時点)というから、もう日本すごいなとしか。