ロバート・エイクマン著、今本渉訳
子供の頃「私」が買ってもらった人形の家には、外側からは見えない部屋があった。大人になった私はある日、あの人形の家そっくりな屋敷を見かける。表題作『奥の部屋』を始め、幼馴染の女性に起こった何事かを描く『学友』、森の魔を垣間見る『髪を束ねて』等7篇を収録した短篇集。私はホラーは苦手なのだが、本作の怖さ(ジャンルとしてはモダン・ホラーでくくられるようだが、著者自身はいわゆるホラーとしては書いていないのかなという気も)はすごく面白かった。はっきりと、こういう対象が、こういう事象が出現したから怖い、というのではなく、怖さはあるが対象が何者なのかよくわからない、今起きているのが一体どういう事象なのか説明されないという所に恐さがある。得体の知れなさを描いた作品群とも言える。特に『学友』の最後の1文の破壊力には唸った。いきなり観察者を当事者側に引き込むのだ。