マルセル・プルースト著、高遠弘美訳
避暑地バルベックを訪れた「私」は、貴族階級の人々や高名な画家と交流を深め、サン・ルー侯爵とは親友のような関係になる。とりわけ「私」の心をとらえたのは、避暑に訪れていた少女たち、特にアルベルチーヌという活発な少女だった。光文社古典新訳文庫版で読んでいるのだが、ようやく4冊目。全14巻だそうなのであと何年かかるんだろう・・・。今回は避暑地でのひと夏が舞台ということで、夏休みのような浮き立った気分に包まれている。予想外に青春小説ぽさを感じた。年長の才人や、にぎやかな少女たちへの憧れに彩られているのも、青春ぽさを強めている一因だろう。特に少女たちの描写は、最初は「少女たち」という群れとしての認識だったのが、徐々に個々の個性が見えてくるところが楽しい。「私」が勝手にこうであろう、と少女たちの姿を夢想していたところ、画家に紹介されて実際に顔を合わせる羽目になり焦るところなども、いかにも若くてユーモラスでもある。今回、これは青春の黒歴史だな!と笑ってしまう部分が多いのも意外だった。「私」は自分が見たいように他人や物事を見るところがあるが、段々見方が変わっていく。「私」がどんどん変化していく様がわかる、流れるようなパートでもあった。そこもまた青春ぽい。