岡田尊司著
かけがえのない同胞であると同時に、永遠のライバルでもあるきょうだい。一歩間違うと親の愛情の奪い合いや遺産争いといった問題に発展し、双方の人生を狂わせてしまうこともある。なぜ「きょうだいコンプレックス」は生じるのか、どういった影響があるのかを解説した入門書的新書。ごくごく平易でわかりやすく、実在の人物の事例(トーマス・マンやドストエフスキーのエピソードはなかなか強烈である)も引き合いに出していて、さらりと読める。きょうだいコンプレックスがこじれるか否かは親との関係、更に言うと親の自己愛の在り方により大きく左右されるそうだ。特定の子供を贔屓する、あるいは冷たくせずにはいられない親がおり、その態度はゆがんだ自己愛によるものだと言う。これだと子供側から出来ることってあんまりないよなぁ、そもそも自分のせいではなく親に原因があること自体に気付かないんじゃ・・・と思っていたら、実際、自分と親との関係がおかしいと大人になるまで気づかず(他の家庭との比較って案外できないので)、拗れてしまうケースが多いようだ。親との関係、兄弟との関係の在り方を家族以外の人との関係にも投影してしまい人間関係に失敗することも多々あるそうだ。解決の糸口は自分の育ち方や両親、きょうだいとの関係を見つめなおすほかないというが、それもしんどいだろう。自分や家族の病気、不幸が契機になって関係を再構築できることがあるというのは、そのくらい追い詰められないと難しい(著者はもっと気持ちが優しい言い方をしているけど(笑))んじゃないだろうか。