1955年、マグナム・フォトの若手カメラマン、デニス・ストック(ロバート・パティンソン)は名前を売るきっかけとなる作品を撮ろうとしていたが、回される仕事はスターのスチール写真ばかり。あるパーティーで新人俳優ジェームズ・ディーン(デイン・デハーン)に出会ったストックは、彼のスター性を確信し、密着取材を頼み込む。彼の故郷インディアナにまで同行するが、なかなか納得のいく撮影はできない。監督はアントン・コービン。オーウェン・パレットによる50年代のジャズをベースにした音楽がとてもよかった。
 デハーンはそれほどジェームズ・ディーンには似ていないし、本作のディーンをはじめ実在の人物の造形が、実際のその人たちに近いのかというと何とも分からない。本作はディーンという実在のスターの姿というよりも、むしろカメラマンと被写体との関係に焦点を当てたもののように思う。カメラマンであるコービン監督の体験も反映されているのだろうか。
 ストックはディーンに何かを感じて被写体に選ぶ。一方、ディーンもストックを拒むわけではない。しかし、ストックが写真を撮り続けてもディーンが心を開いたようには見えない。むしろ、一度ストックに失望した風でもある。ストックは最初のうち、「こういう写真を撮りたい」感が強すぎる。被写体よりも自分の作品の方が先にきているのだ。もっと相手を良く見る、相手の内面に歩み寄る必要があるのだろう。この姿勢は自分の息子に対しても同じだ。ストックには別れた妻との間に幼い息子がいるが、会うのも世話するのも億劫そうで、息子との約束も破ってばかり。相手の目線に合わせていくのが彼には荷が重いのだろう。相手との距離の測り方での粘りが足りないというか、辛抱が足りないというか。
 ストックとディーンの間には、それほど共通点はない。ディーンの行きつけのバーはストックは行かないようなところだし、ディーンの故郷の農場で、都会育ちのストックが浮いてしまう様子などはユーモラスでもある。農場にスーツ着ていかないもんなぁ。そんな2人が徐々に近づいていく。2人ともまだ自分の路を模索している段階というところは共通しているのだ。ただ、2人がお互いの中に何かを見出すタイミングはずれており、2人が並走する距離はわずかだとういところが、寂しくもある。