19歳の少女ハーリー(アリエル・ホームズ)はニューヨークの路上で生活するホームレス。同じくホームレスの恋人イリヤ(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)はエキセントリックな言動で彼女を振り回す。死んで自分への愛を証明しろと強要され、ハーリーは手首を切ってしまう。仲間に説得されてイリヤと別れたものの、彼を追い求め、ハーリーのドラッグ依存は悪化していく。監督はジョシュア&ベニー・サフディ。
 ハーリーはイリヤを深く愛し、それこそ彼のためなら死ねる!くらいのテンションなのだが、客観的にはその愛が彼女を幸せにするとは思えない。イリヤはトラブルメーカーで、ハーリーを振り回し、試し続けるだろう。仲間が彼女を止めるのも無理もない。しかし、彼女はそもそも客観的な幸福など求めていないのだろう。彼女自身でもイリヤがろくでもないということはわかっている。ハーリーの友人であるドラッグの売人は、いつも与太話ばかりやっているのだが、唯一まともな忠告をするのがイリヤに関することだ。そのくらい自明のことなわけだが、それでも彼女が愛するのはイリヤだし、どうしても彼と一緒にいたい。忠告や心配などそれこそ「くそくらえ」というわけだ。
 ハーリーの行動は共感を拒むものなので、そこで観客の本作に対する好き嫌いが分かれそうな気がする。私は登場人物に共感しにくくてもまあ面白く見られる方だが、本作は登場する人たちが皆落ち着きなくて辟易した。その落ち着きのなさは、主にドラッグ依存症のせいかもしれないが・・・。ハーリーもドラッグが欲しくなると我慢がきかないので、言動が行き当たりばったりになるし感情も押さえておけなくなる。シラフの人から見ると、そういう様子って友達のものでも(友達だからこそか)見たくないものだろうな。ハーリーはドラッグとイリヤと両方に依存しているから、周囲はシラフじゃない様子を延々と見せられてるわけだし、一緒にいるだけで色々ときつそうではある。